平成の大ベストセラーといわれる佐伯泰英の「居眠り磐音」をドラマ化した時代劇「陽炎の辻」がNHKで始まった。佐伯作品をほとんど全部読んでいるので、これも「どんなものかな」と思って、1回目を見てみた。
こういう場合、本で先にイメージができてしまうと、映像化されたときに「なにか違うなぁ」と思うことが多い。でもこのドラマは「原作に忠実に」という意図がはっきりしていて、全然外していなかった。佐伯泰英はもともと闘牛のカメラマンだった人で、文章もすごく視覚的なんだけど、その世界がうまく表現されている。
主人公の磐音の役をやっているのは「新選組!」の土方歳三役で有名になった山本耕史だが、ヒロインのおこんを演じている中越典子はよく知らなかった。おこんは下町のおきゃんな娘で、磐音に思いを寄せる重要なキャラクター。おこんを誰がやるかが気になっていたんだけど、イメージにバッチリでとてもよかった。
強いて文句をいうとすれば、チャンバラのシーンがちょっと情けない。チャリン、チャリンと音がちゃっちい感じなのだ。剣豪の話なんだから、もう一つなんとかならないものか。それが残念といえば、残念。
でも、さすがNHKは大河ドラマをやっているだけあって、時代劇はいい。江戸っ子の人情味が豊かなところが魅力の「居眠り磐音」の世界をどう見せてくれるか。全11回ということなので、これからが楽しみだ。
   陽炎の 辻に人情の 花が咲き