「企業は人なり」実践に向けた予防医療の健康経営とは(株式会社CSDコンサルタンツ 西里喜明社長)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   健康経営優良法人の認定を目指す企業経営者にヒントを――。そんな思いのもと、連載中の「健康経営のススメ!」。

   これまでに認定を受けた企業や、積極的に健康経営を推進している企業の先進事例のほか、コロナ禍で社会的課題となった従業員のストレス対策として、産業医のアドバイスを有効活用する企業の事例など、できるだけ具体的なノウハウに焦点を当ててきた。

   第20回は、経営コンサルティング会社として創業30年、主に沖縄県内の中小企業や組織の成長・発展のため、経営戦略策定、創業・承継、産業人材育成等を支援してきた沖縄県浦添市の株式会社CSDコンサルタンツ。

   従業員は10人。経済産業省の健康経営優良法人2023に認定されている。代表取締役社長の西里喜明(にしざと・よしあき)さんに話を聞いた。

予防医療の知識を学んだ専門スタッフ「実践健康経営指導士」を育成

――健康経営を導入されたきっかけをお教えください。

西里社長 経営コンサルティングは顧客の課題解決のためタフな心身とハードワークが求められるのが一般的です。「働き方改革」が叫ばれていた頃も、当社では生産性向上のための能力開発ばかりで健康管理は個人任せでした。その結果、残念なことに体調を崩す社員がでてしまいました。
また、健康への意識が高まる中、県内企業の健康状態を調査・分析する事業を受託し、沖縄県は働き盛り世代の死亡率が10年以上全国ワーストであると知ることになりました。中小・零細事業者の多い沖縄において、経営者はもちろん、社員一人ひとりが大切な経営資本であり、離職・休職・生産性低下は死活問題です。健康課題は経営課題に直結するという危機感から当社も2019年より健康経営を導入しました。

――予防医療の視点からの取り組みを重視されているそうですね。

西里社長 一般社団法人 日本免疫研究会と、一般社団法人 日本予防医療協会とのご縁をいただいて、健康対策は不調への対症療法ではなく、細胞単位から病気にならないカラダづくりを目指す予防医療が大切であると認識しました。
そのため当社では、毎月全社員が日本予防医療協会の金城実Dr.が開発したセルフチェックシステムを使って健康状態を測定し、自身の健康課題を認識し改善する機会を設けています。
そして、社内に予防医療の知識を学んだ専門スタッフ(実践健康経営指導士)を育成し、各社員が面談を通して自身の健康課題に応じた改善目標を立て、実行し、翌月またチェックするというサイクルを構築しました。また、日々の生活で無理なく実行できるセルフケアも出社時や朝礼時に取り入れています。
kaisha_20231127124010.jpg
オフィス内に設置されたセルフチェック用の測定機材
kaisha_20231127124128.png
実践健康経営指導士を育成し健康経営の普及を目指す

――健康経営優良法人認定取得に向けてどのような取り組みに力を入れたのですか。

西里社長 健康経営に着手して4年目の昨年、自社の現在地を知りたいと考え、優良法人認定にチャレンジしました。申請にあたってはアクサ生命のサポートのうえ、特に健康習慣アンケートは他社との比較がとても参考になりました。
具体的には、健康意識やワークエンゲイジメントは全国平均より高い一方、コミュニケーションの満足度や運動習慣には個人差があることが判明しました。そこで、コミュニケーション能力向上を意識した研修、ワーク、朝礼でのスピーチを取り入れたり、運動イベント参加を応援する助成制度を新設したりしました。
申請のために社内規定・制度を見直す中で、今まで明文化されていなかった福利厚生制度も整理できて、より働きやすい環境が整いました。

――行動変容につなげるためにどのような工夫をされていますか。

西里社長 コンサルティングという職種柄、高いレベルで個人の裁量と自律が求められる職場です。健康経営の取り組みについても方針は伝えるものの、強制はしません。そのため、健康状態の改善スピードは個人差があります。飲酒・喫煙・運動・食生活の習慣も、結局は個人が決意しなければ行動変容は起きないのです。
しかし、時間をかけて社内の健康意識を高め、お互いの心身と公私の充足を尊重し合う社風を醸成してきたことで、確実に行動は変わってきました。長時間労働を良しとしない姿勢を社内で共有するほか、昼食や飲み物を健康的なものに変更する、飲み会での飲酒の抑制、不調は早めに受診・診察を受けるなど、積み重ねることで病気を予防できる行動を取れるようになってきています。

――今後の目標をお聞かせください。

西里社長 健康経営を始めて足かけ5年の間に社会情勢は激変し、パンデミックも経験しました。高ストレス状態の中でも社員の健康状態が悪化せず、むしろ血圧や体脂肪率、欠勤率などが改善しているのは大きな成果と捉えています。社員を大切にする姿勢が伝わったのか、以前より組織が活性化していると感じます。そのおかげか業績も向上しました。
今後は健康経営の取り組みを、生産性や企業価値、業績の向上につなげていく段階だととらえています。また、今まで以上に元気になった社員の力で、県内企業に「人を大事にする経営」や健康経営を普及させていき、沖縄経済の発展に貢献していきたいと思います。

――ありがとうございました。

【会社概要】
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役社長 西里喜明さん

・本社所在地   沖縄県浦添市
・主な事業内容  経営コンサルティング業
・従業員数    10名
・健康経営優良法人 2023認定
 https://www.csd-c.co.jp/

姉妹サイト