権限は振るうのに、イザという時は隠れる人って「責任者」なんですか?【vol.29】(川上敬太郎)

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会社が起こした不祥事の背景について、説明責任を果たすべきなのに。

   ところが、先日テレビを観ていて、あれっ?と思うことがありました。

   中古車販売大手のビッグモーターが起こした一連の不祥事について、記者会見を開いた時のことです。会社のオーナーでもある創業社長や新社長たち数名が並んで、メディアからの質問に答えていました。

   しかし、いまひとつ説明がピンとこないというか、社長以下それぞれの人たちは質問に答えてはいるものの、事情をよくわかっていないかのような釈然としない印象を受けました。

   その後の報道によると、不正行為やパワハラなどがエスカレートしたころに、会社運営の実質的な権限を振るっていたのは、創業社長の長男にあたる副社長だったのだとか。そう聞いて、妙に納得しました。

   でも、記者会見の場に、副社長の姿は見えませんでした。その後も、雲隠れしたままです。会社運営の権限を持っていたのであれば、最も責任があり、会社が起こした不祥事の背景について説明責任を果たせるのは副社長のハズです。

   なのに、肝心の副社長が一切姿を見せないなんて、ヘンじゃないですか。

   選挙権を得た長女に政治家を選ぶ責任について語った後だっただけに、何とも言えない虚しさを覚えました。

   ただ、よく思い返してみると、日ごろは威勢よく権限を振りかざすのに、イザとなると部下に責任を押しつけて姿を隠すエライ人って、会社の中でたくさん見てきた気がします。そういう人に限って、上司のご機嫌とりに長けてて、出世したりするんですよね。

   そうやって権限だけは振るうのに、それとセットなはずの責任から逃れてもすまされる人って、そもそも責任者と言えるのでしょうか?

   権限は有って、責任は無しって...そうか、だから世の中はそういう人のことを「無責任」と言うのか! と独り言ちながら、妙に納得しました。(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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