日本企業初!トヨタ、23年4~6月期決算で営業利益1兆円超 だが、「楽観はしていない」...米中市場での懸念材料とは

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   トヨタ自動車の2023年4~6月期決算(国際会計基準)で、本業のもうけを示す営業利益が1兆1209億円と、日本企業として初めて四半期ベースで1兆円を超えた。世界的な半導体不足が和らいで生産が回復し、販売が増加したほか円安も追い風になった。

   ただ、中国を中心に海外で競争激化や販売の減速などの不安要素があり、先行きの見方は慎重だ。

  • トヨタ自動車、四半期利益で1兆円を超える(写真はイメージ)
    トヨタ自動車、四半期利益で1兆円を超える(写真はイメージ)
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営業利益を押し上げたのは、生産台数の回復と価格改定 長引く円安も増益要因...想定よりも7円、円安の方向に振れる

   トヨタの発表によると、2023年4~6月期の」売上高は前年同期比24.2%増の10兆5468億円、最終的なもうけを示す純利益は同78.0%増の1兆3113億円で、いずれも四半期ベースで過去最高だった。

   営業利益を押し上げたのは、生産台数の回復と価格改定だ。

   世界的な半導体不足の影響が和らいだことにより、世界生産(トヨタとレクサス)は同20.0%増の254万台と過去最高を記録。欧米や日本など各市場の需要は底堅く、世界販売も253万台で同8.4%増えた。子会社のダイハツ工業と日野自動車を含めたグループ全体の世界販売は同8.1%増の275万台だった。

   原材料価格の高騰で2300億円、労務費の増加で300億円のコスト増があったが、それをものともせず、生産台数の増加が2600億円、車両価格の改定(値上げ)が2650億円、営業利益を押し上げた。

   長引く円安も1150億円の増益要因だった。期中平均の為替レートは1ドル=137円と、想定より円安の方向に7円振れた。

24年3月期通期の業績予想は、据え置きに 競争激化の中国市場...シェアが1.3ポイント低下、営業利益が前年同期比26%減

   このように大幅増益になることは事前に予想されたとおりで、問題は今後の見通しだ。

   24年3月期通期の業績については「まだ3か月で状況が大きく変化していない」として、売上高38兆円(前期比2.3%増)、営業利益3兆円(同10.1%増)、純利益2兆5800億円(同5.2%増)との予想は据え置いた。トヨタ単体の生産台数の目標も1010万台で変えなかった。

   これが、いつもながらの保守的な見通しなのか、本当に懸念材料が多いのか。

   決算発表(2023年8月1日)の際、長田准執行役員は、今後の見通しについては、「米国のインフレや、中国での更なる競争環境の激化、ウクライナ侵攻による欧州のエネルギー問題など各市場でリスクが想定され、楽観はしていない」と述べた。

   具体的に見ていこう。4~6月期決算では、北米、日本、欧州などでの販売が好調で増益となった。

   ただ、アジアでは販売台数は増加したものの、2.7%の営業減益となった。特に、中国では販売台数こそ49.9万台(前年同期比8.6%増)だったが、シェアは7.0%と1.3ポイント低下し、営業利益は536億円と、前年同期比26%減った。

   背景として、電気自動車(EV)で地場メーカーが急速に台頭して価格競争が激化。販売奨励金などのコストが増えたことも足を引っ張ったという。

「広汽トヨタ」1000人の人員削減 北米市場では、シェア1.3ポイント低下、需要減速も懸念

   中国市場の動向として、トヨタの担当者は「中国市場は新エネルギー車が好調で、従来のガソリン車やハイブリッド車(HV)の販売が厳しい」と説明している。

   中国の広州汽車集団との合弁会社「広汽トヨタ」では、7月までに全体の5%にあたる約1000人の従業員を満了前に契約終了するなど、コスト削減に着手した。

   北米事業も盤石ではない。

   販売は増えたが、シェアでみると13.8%と、1.3ポイント下がった。物価上昇(インフレ)に対応した利上げの影響で需要減速も懸念される。

   自動車生産は復調して在庫が回復したため販売競争が激化し、奨励金が増加に転じたといわれ、今後、利益を圧迫する懸念もある。

   米中の景気動向を含め、残りの3四半期を楽観的に見るのは難しいようだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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