真夏の節電要請でエアコンをガマンしてるのに、EVを増やすのって矛盾してませんか?【vol.28】(川上敬太郎)

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   家計簿をつけていると、物価高で日々ジリジリ追い込まれている感じがします。なかでも特に高くなったな、と思うのが電気代です。

   しかし、気候は夏真っ盛り。猛暑でエアコンを使うと、電気代は目玉が飛び出る金額になります。なので、エアコンを使いたくても「やっぱ、もうちょっとガマンしよう」と思ってしまいます。

  • 無理な節電はしないで、適度にエアコンは使いましょう(写真はイメージ)
    無理な節電はしないで、適度にエアコンは使いましょう(写真はイメージ)
  • 無理な節電はしないで、適度にエアコンは使いましょう(写真はイメージ)

たしかに節電は必要だけど、無理をしてはいけません。

   さらに、夏場は電力がひっ迫してしまうのも心配です。

   国民としては、節電要請に応えなければなりません。省エネキャンペーンを推進する東京都の協議会は、「照明はこまめに消灯、LEDへの交換も検討を!」などの共同メッセージを公表しています。

   1つひとつは小さな取り組みでも、みんなで努力を積み重ねれば節電効果は大きくなりそうです。

   家庭でも職場でも、できることはいろいろあります。資源はみんなのもの。こういうこまめな節電に協力することは大切だなあ、とシミジミ思います。

   よし、やっぱりエアコンはやめ、窓を開けて外の風を通し、消費電力が低い扇風機でしのぐことにしましょう。

   しかし、ジワジワと流れ出る汗・・・。思わずエアコンのスイッチに手が伸びそうになりますが、

「いやいや、みんなで協力しないと。ガマンガマン」

   こういう時、かつて炎天下で汗水を垂らしながら、部活動に励んでいた記憶がよみがえります。この程度でヘコたれていてはいけません。暑さに耐えながら、みんな頑張っているのです。

   しかし、日差しはドンドン強くなり、気温はグングン上がっていきます。気がつくと、体温を超えているではないですか。なんとなく、意識がモウロウとしてきたような感覚に襲われる中......。

「そういや、熱中症とか怖いよな...」

   家計を考えると電気代は痛いですし、節電協力もしたい。しかし、熱中症で亡くなる方もいます。命には代えられません。そこで熱中症について調べてみると、厚生労働省のパンフレットを見つけました。

   そこには以下のように書いてあります。

<節電を意識するあまり、熱中症予防を忘れないようご注意ください!>
・夏期の電力不足に対して節電の取り組みが求められていますが、節電を意識しすぎるあまり、健康を害することのないようご注意ください。
・気温や湿度の高い日には、決して無理な節電はせず、適度に扇風機やエアコンを使用するようにしましょう。

   たしかに、節電は必要だけど、無理をしてはいけないな...。しかし、そうは思うものの、改めて考えてみると、よくわからなくなってしまいました。

環境に優しいと言いつつ、ホンネは儲けることに夢中...ではないですよね?

   ハテ、暑いと感じた時点で、もうムリをしているようにも思うし、もっと暑くても耐えられた記憶もあるし。果たして自分はいま、ムリをしているのかしていないのか・・・。

   暑さの中、ボーっとそんなことを考えていると、夏休みで大変ゆっくり起きてきた大学生の長男がリビングに入ってくるなり言いました。

「なんか、この部屋暑すぎない? ピッ」

   部屋に入るやいなや、間髪入れずにエアコンのスイッチを押した長男。

   エアコンが部屋の空気を冷やし、モウロウとしかかっていた意識が戻るにつれてわかってきました。どうやら、自分は気づかないうちにムリをしていたようです。

   熱中症で亡くなった方の中には、節電しようとこうやって知らず知らずのうちにムリしてしまったケースもあるのではないでしょうか。

   やがて、徐々に冷やされていく空気に体が馴染むにつれ、今日の新聞を読んでなかったことに気づきました。紙面を開いてみると、やたら目に入ってくるのが電気に関する記事。

「経済ニュースは、連日EV(電気自動車)の記事ばかりだな」

   そこで、疑問が浮かびました。EVって増えれば増えるほど、もっと電気が必要になりませんか。

   それなのに、節電でついエアコンをガマンして熱中症になってしまう人がいるとしたら、矛盾している気がします。

   環境への優しさから、排ガスを出さないEVにシフトするのはわかりますが、人への優しさから、ためらうことなくエアコンが使えるよう充分な電力を確保することも大切なはず。

   さらに気になるのは、いま世界中の自動車メーカーがEVの販売を競い合っていることです。

   まさか、環境に優しいと言いつつ、ホンネは儲けることに夢中で闇雲にEVを増やし、人への優しさなど眼中にない、なんてことはないですよね?(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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