管理職を希望しない女性は「やる気がない」って、誤解してるんじゃないですか?【vol.26】(川上敬太郎)

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   想像していたことですが、兼業主夫になって、ハッキリと実感したことがあります。それは、家事はしんどい、ということ。土日も休みはありません。GWやお盆などの連休は、ゆっくりできないどころか、むしろ繁忙期です。

  • 女性の行く手にだけ「家事育児と仕事の両立」という急な上り坂が?(写真はイメージ)
    女性の行く手にだけ「家事育児と仕事の両立」という急な上り坂が?(写真はイメージ)
  • 女性の行く手にだけ「家事育児と仕事の両立」という急な上り坂が?(写真はイメージ)

2030年までに女性役員比率を30%以上にする政府目標、今度はうまくいくのでしょうか?

   兼業主夫になって3か月ほど経ったある土曜日、突然体が動かなくなって寝込んでしまったことがあります。20年以上の会社勤めではかなりのハードワークをこなしてきたつもりですが、家事のしんどさは異質です。ゴールのないマラソンを延々と走り続けている感覚に似ています。

   結局、兼業主夫の一年目はペースがつかめず、その半年後にも同じように一日寝込みました。

   そして、あらためてわかったこと。それは、子どもが小さかったころの育児の大変さは、この比ではなかっただろうということです。私が兼業主夫になった時、下の子たちはもう中学生。思春期特有の難しさはあるものの、「服をかたづけて」と言えば、ちゃんと動いてくれます。

   自分が管理職になったばかりのころ、仕事だけに集中できていたのは、妻が家事育児を引き受けてくれたおかげだという思いが、およそ20年の時を経てより強くなりました。

   それもまた、主夫になったからこそ得られた学びだなぁ、などと感じつつ次男のお弁当をつくり終えたある朝、一息つきながら新聞を広げると、政府が示す女性版骨太方針の原案なるものが大きく報じられていました。

   なんでも、2030年までに、東証プライムに上場する企業の女性役員比率を30%以上にするとか。目標を掲げることはいいと思うのですが、もともと2020年までに女性管理職比率を30%にしようとしていた期限を2030年に延ばしたばかりだけに、上手くいくのか気がかりです。

   ただ、世の中で働いている人の数は男性と女性とで大きな差はありません。正社員だけで比較しても女性の比率は30%を超えていますから、その比率のまま昇進していけば、女性管理職比率は自然と30%を超えるはずです。

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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