育休復帰後、出世コースを外れてしまった...「マミートラック」に負けず、子育てと両立して働くには?(入澤あきこ)

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   この春に、育休から職場復帰したママも多いと思います。

   最初のうちは、お子さんの急な体調不良などで、気持ちも仕事も落ち着かない日々かもしれませんね。仕事が終わっても、お迎え、食事の準備から片付け、お風呂に、寝かしつけて...という育児と家事を同時にこなす生活も本当に大変ですよね。

   こんにちは。「子育てしながら働く女性のための研究所」所長の入澤あきこです。

   いきなりですが、「マミートラック」という言葉はご存じですか? 母親となった女性が、産休・育休から復帰した際、自分の意思とは無関係に出世コースから外れて昇進や昇給の道が遠のいたり、閉ざされてしまったりする――そういったキャリアコースにのってしまうことを意味します。

   なかなか出産前と同じように働けない、子育てしながら働く女性たち。子育てしながら働く人とそうでない人をキャリアの面で比べれば、差がつくと言われると、その通りなのかもしれません。

   「マミートラック」に対しては、社会のあり方を変えたり、企業自身の努力が必要だったり、自分自身の働き方や周囲への向き合い方が問われたり、と多方面からアプローチで解決を目指していく問題だと思います。

   そこで当コラムでは、「子育てしながら働く女性のための研究所」所長として、私が子育て女性のさまざまな働き方をインタビューさせていただいた経験や私自身の経験から、個人としてすぐにできる「マミートラックに負けない働き方」をお伝えしていきたいと思います。

「この働き方で大丈夫かな?」悩むときほどチャンス!

   さて、私自身も、子育てと仕事の両立には、とても悩んできました。子育てが始まって10年以上経ちますが、この10年で、会社員、専業主婦、フリーランスという働き方を経験してきました。

   復帰して今疲れている方に、あえて言いたいのが、「この働き方で大丈夫かな?」と悩むときほど、チャンスです! 前向きで、ごめんなさい。でも、自分の環境が大きく変わった時に、心が不安定になるのは当たり前。自分の人生の良い転機と捉えて、自分のこれからの人生について考えていきましょう。

   私自身、会社員をしながら子育てしていた期間は短いのですが(のちに起業するからです)、ものすごく悩み、後から振り返れば大きな転機となりました。

   そこで最初にやったことは、「何がつらいのか?」を言葉にしていく作業でした。私にとってつらいのは、

・子どもと関わる時間が短い
・帰宅しても、やることが多くて子供にイライラしてしまう
・自分の時間が取れない
・週末は家事と用事で終わって、楽しめない

   などでした。

つらい理由を言葉にすると、大事にしたい「価値観」が見えてくる

   こう言葉にしてみると、つらい理由は、プライベートの時間が満たされてないからだと、わかったんです。つまり、私は「プライベートの時間を大事にしたい」という価値観を持っていると自覚しました。

   プライベートの中には、家族と自分の時間の両方がほしいと思うのも、私の特徴でした。というのも、夫の場合は、プライベートでは家族と楽しい時間を過すのが大事で、あまり自分の時間を望んでいませんでした。だから、一口に「プライベート」と言っても、人によって捉え方はさまざまです。

   じっくり考えていくと、私はプライベートの時間を大切にできる働き方を望んでいるとわかりました。では「パートがいいのか?」というと、「仕事による自己実現も大事」だとわかり、パートではなく独立の方向に舵を切りました。

   当時は「いきなり会社辞めよう!」と思い、勤めていた会社に退職の意向を伝えました。が、ありがたいことに引き止めていただき、週3の社員となりました。社会保険などは自己負担でしたが、自分の優先順位として、お金より時間が大事でした。また、すぐに独立できる状況でなかったことと、会社への貢献も不十分だったので、勤め続けることにしました。

   私の例と比べてもらうことで、「そう思わない」「似てる!」など、ご自身の価値観があぶり出されるのではないでしょうか。復帰直後の方は、ここまで考える余裕がないかもしれません。でも、自分の心の声に沿った働き方ができると、「マミートラック」という言葉にも負けずに働けると思います。

   ぜひ、まずはご自身を見つめるチャンスの時期と捉えていただければと思います。【つづく】(入澤あきこ)

入澤有希子(いりさわ・あきこ)
入澤有希子(いりさわ・あきこ)
子育てしながら働く女性のための研究所所長
パーソナルスタイリスト

結婚後夫の転勤で、転勤族の妻として働き方に悩み、好きを仕事にパーソナルスタイリストとして独立。子育てが始まってからの引っ越しで、金なし・仕事なし・保育園なしを経験。会社員としても働くが、子育てとの両立に限界を感じ、100名以上の子育て女性にインタビューし、「子育てのために仕事を諦めなくてもいい方法」を出版。テレビにも専門家として出演。働き方の変え方として起業方法を伝えている。法政大卒。
ホームページ https://mamakenkyujo.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/akirisawa1209/
著書に「子育てのために仕事を諦めなくてもいい方法」(Kindle版)他2冊。
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