派遣社員と非正規社員を混同し、なんでも派遣社員のせいにして解決を図ろうとしていないか?
そんなことをブツブツ独り言ちていたら、以前にもある政治家が、「日本の賃金が減少しているのは派遣労働の拡大が原因だ」という主旨のツイートをしていたのを思い出しました。でも、そこに掲載されていた賃金差のグラフをよく見てみると、派遣社員とおぼしき線の表記が非正規社員となっていました。
あれ? ひょっとして、こちらの政治家も、労働者派遣を違法に戻せば正社員の賃金が上がると指摘している著名人も、派遣社員と非正規社員の区別がついてない、なんてことありませんか?
でも、それならば合点がいきます。
もし、派遣に限らず非正規社員全体を違法にするのであれば、正社員の賃金に影響を及ぼすほどのインパクトがありそうです。
職場が高賃金の正社員だけになるワケですから、会社は生産性を上げようと頑張り、賃金も上がりやすくなるという流れが生まれることも期待できるかもしれません。非正規社員から正社員になれず、無職になってしまう人が増えないようにする必要はありますが。
それを派遣社員と非正規社員を混同し、なんでも派遣社員のせいにして解決を図ろうとしてしまうとしたら、ムリがあります。それどころか、焦点がボヤけることで、かえって派遣特有の問題にスポットが当たりづらくなりそうです。収入を増やしたい人が30日以内の日雇い派遣で働きたくても、世帯年収が500万円"以上"ないので働けない、なんてヘンなルールがあったりするのに。
でも、賃上げしたくない会社としては何かにつけて「派遣が悪い!」と、非正規社員全体の問題と混同しながら矛先を派遣の方に向けておいてくれた方が、ありがたいのかもしれませんけど。(川上敬太郎)