ジリジリ上がり続ける物価...苦しさは人それぞれ違うのに、ナゼ賃上げは一律「○%」なの?【vol.21】(川上敬太郎)

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   食料品など、日々の生活に欠かせない品物がどんどん値上がりしています。

   ある日のこと、夕飯の買い物をしていたら、卵の値段が10円上がっていることに気づきました。「10円ならしゃあないか...原材料諸々上がってるし」と自分に言い聞かせたものの、しばらく日が経つと。今度は1円だけ上がっているではないですか!

   そして、またしばらくすると10円、また1円と、小刻みにジリジリ値段が上がっていきます。

   売る方も大変なのだと思いますが、家計を預かる主夫としても、ジリジリ値上げは真綿で首を締められるように、苦しくなっていきます。別の日には牛乳が、また別の日にはお菓子が...と日替りで値上げ商品を見つけるたびに、ため息の数も増えるようになっていきました。

  • どうして、賃上げは「一律」なんでしょう?
    どうして、賃上げは「一律」なんでしょう?
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大企業の賃上げの話に、「ウチらには関係ない」と、あきらめ気味の声も...。

   そんな時に目に飛び込んできたニュース。大手企業が、続々と賃上げ方針を発表しているとか。サントリーに日本生命、すかいらーく、三井不動産、ファーストリテイリングなど、そうそうたる会社が名を連ねています。どれだけ物価が上がろうとも、それ以上に賃金が上がってくれるなら、何も怖くはありません。

   ところが、厚生労働省発表の毎月勤労統計調査結果速報によると、物価上昇分を加味した2022年11月の実質賃金は前年同月比でマイナス3.8%。いまのところ、賃上げペースは物価上昇のペースに追いつかず、マイナスはこれで8か月連続。なんとも厳しい数字です。

   大手企業の賃上げニュースに対しては歓迎する声がある一方、「それくらいじゃ足りない」という反応もあります。また、「うらやましい」という声も。賃上げのニュースをどれだけ耳にしたところで、それは一部大手企業に限った話。「ウチらには関係ない」と、あきらめ気味の声が出てしまうのも仕方ないように思います。

   こうなると、労働者の代表である労働組合に頼りたいところです。連合は春闘で5%の賃上げを要求する方針を打ち出してくれています。総務省発表の消費者物価指数によると、2022年11月の生鮮食品を除く総合指数で前年同月比3.7%の上昇。5%はそれを上回る数字です。

   しかし、応じてくれる会社がどれだけあるかはわかりません。また、仮に5%アップが実現できたとしても、物価がさらに上がってしまう可能性だってあります。日本銀行発表の企業物価指数は2022年11月速報で前年同月比9.3%アップ。消費者物価指数よりも遥かに高い数字になっているだけに、値上げを抑えて頑張ってくれている会社側が耐えられなくなるかもしれません。

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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