「パワハラ表彰」に「シャブ漬け戦略」...ヘンなことだらけだった2022年を振り返る。教訓とすべきトピック5選【vol.20】(川上敬太郎)

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インパクトある言葉に酔い、溺れてしまわぬように

   ノミネートの4つ目は、最初聞いた時一瞬耳を疑った言葉、生娘シャブ漬け戦略。牛丼チェーン店の元役員が大学の社会人向けマーケティング講座の中で発してしまいました。

   考え抜いた企画に上手くハマると、顧客は虜になってしまいます。それはマーケティングの醍醐味でもあるでしょうし、そんなエッジの効いた戦略を立てることの重要性を伝えるための例えとして用いた言葉なのだとは思いますが...しかし、あまりに不適切です。

   そもそもシャブ漬けなんて、顧客が覚せい剤中毒になってしまうではないですか。顧客を不幸にするゴールをイメージしている時点で根本的な考え方がヘンです。ただ、インパクトがある言葉に酔ってしまうと、それがヘンであることに気づかないほど、マヒしてしまうということかもしれません。

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   そして、最後のノミネートは、まだまだ摘発が増えそうな雇用調整助成金の詐取。なかには、ン千万円とか、ン億円に及ぶ規模のものもあります。

   詐取した経営者たちはさまざまな修羅場をくぐって、売上・利益を積み重ねてきたはずなのに、補助金に目がくらみ、これまで積み上げてきた経験を無駄にしてしまいました。その経験こそ、いくらお金を積んでも買えない貴重な財産なのに...。

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   以上で、5トピックが出そろいました。こうしてみてみると、どれもこれも、残念なトピックばかりです。それは裏を返すと、どれも貴重な教訓ばかりということでもあります。

   さて、『教訓トピック大賞2022』ですが――。

   金額規模が大きく、今もまだ摘発が続いていて、さらに被害金額が広がりそうなことなどから、「雇用調整助成金の詐取」に贈りましょう。

   厚生労働省の調査では、9月末までに不正受給額が135億円余りに達したとか。これって、そのまま、貴重な経験を無駄にしてしまった経営者たちの目をくらませた金額の総和なんですよね。今後、金額が増えるほど、より重い教訓となっていきます。

   当コラムでは取り上げていないものの、保育園や障害者支援施設での虐待、自衛隊で起きたセクハラなど、ヘンの一言ではとても済ますことのできない、酷いトピックがほかにもたくさんありました。どれも二度と起きてほしくないものばかりです。

   来年は、これらのトピックが教訓として活かされた年となりますように。(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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