ラクして儲けようとする「悪知恵」が次々と...逆境乗り越えてきた経験が台無しではないですか?
しかしなかには、会社のトップ自ら「法律を上手いこと潜り抜ける方法はないか」と幹部たちに問うような組織もあります。そのような会社では、不正行為であったとしても、バレずに利益をもたらしてくれるならば、それは「知恵」なのだと、自分たちに都合よく変換してしまいそうです。
ン千万、ン億円の助成金不正受給も、そんな悪知恵を働かせて生み出した「打ち出の小槌」くらいに思っているのかもしれません。苦労して獲得したン十万円の売上を積み重ねるよりも、悪知恵を働かせて助成金を不正にせしめ、一度に大きな金額を手にする方が圧倒的にラクですから。
厚生労働省によると、そんな雇用調整助成金の不正はわかっているだけで135億円に上るのだそうです。また、雇用調整助成金に限らず、電機メーカーや自動車関連会社などで起きた不正検査、東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職など、ラクして儲けようとする「悪知恵」がことごとく会社を蝕んでしまっている事例が、このところ次々に発覚しています。
でも、それらの悪知恵とやらで、数々の修羅場を乗り越えてきた経験を無駄にしてしまうなんて、むなしくないですか?
いつの間にか悪知恵を身につけてしまった経営者たちは、テストでカンニングして100点取った子どもに、「おお、うまいことやったな!すごいぞ!」なんて褒めたりするのでしょうか?
報じられているコメントなどを見ると、なかには、助成金を詐取しておきながら、サラっと部下に責任をなすりつけている経営者もいるようです。
そんなトップダウンができるなんて、相当ガバナンスが利いているじゃないですか。きっと日ごろから部下の言動には目を光らせていたはずですし、不正と気づかずウッカリ受給申請したなんてヘマ、するはずないと思うのですけど。
(川上敬太郎)