「会社のために不正を働く」人って、最も肝心なことを見落としてませんか?【vol.17】(川上敬太郎)

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たくさんの人を楽しませていることを忘れてはいけません

   しかし、どの親も考えることは同じようで、回転ずし屋さんはいつも超満員。子どもたちはお腹がすいてるし、長時間待つくらいならと、他のお店をめぐってみてもどこも混んでたりします。それでも少ない待ち時間で入れるお店を見つけた時の安堵感たるや。

   ところが、そんな回転ずし屋さんの社長が逮捕されてしまったなんてニュースが世の中を駆け巡ったではないですか。ライバル会社の機密情報を持ち出したということで、これはかなり悪質な感じです。

   そうなると、そのお店に子どもたちを連れていき、楽しく食べられるかというと...なんとも残念な気持ちになります。行けばあんなに喜ぶのになぁ。

   回転ずし屋さんの営業努力は凄まじいものがありますが、その分、競争が熾烈にもなっているようです。別の回転ずし屋さんでも、パワハラなど不穏なニュースがチラホラと耳に入ってきます。

   競争が厳しいほど、各社は生き残りに必死です。自分も長く会社勤めしてきただけに、その気持ちは痛いほどわかります。不正を働いてしまうのも、会社のために...という思いが高じて、道を誤ったのかもしれません。

   しかし、その結果、大きな不祥事を起こしてしまい競争にも敗れてしまうとなると、虚しさだけが残ってしまうことになります。

   そして、さらに悲しい出来事があることを忘れてはいけません。

   その事業がたくさんの人を楽しませていればいるほど、利用できなくなってしまうことで、たくさんの人を失望させることになるのです。

   ライバル会社の機密情報を持ち出す前に、回転ずしを食べて喜ぶ子どもたちの笑顔が少しでも頭に浮かんでいたならば...不正に染まりそうな手をすんでのところで引っ込めることができたかもしれません。

(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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