「紙の記録では同時利用ができない」...事件記録の電子化が実現
――テレワーク推進の一環で、事件記録の電子化も進めてきたそうですね。
古家野さん「事件記録の電子化についても、業界内で早く取り組んだほうだと思います。
法律事務所では受任事件の事件記録を管理する必要がありますが、従来はすべて紙の書類をファイリングして保管していました。しかし、私たちの事務所では、ほとんどの事件を複数の弁護士で担当しているので、紙の記録では同時利用ができない、という問題がありました。さらに、大事件の場合は、記録がかなりの量になるので持ち運びが大変でした。
電子化にあたっては、機密情報がしっかりと守られるシステムがなかなか見つからなかったのですが、2019年に弁護士業務に特化して開発された『弁護革命』という専用ソフトのおかげでこの問題が解決され、いち早く導入しました。
私が担当する事件から電子化を取り組み始めて、今では事務所内のすべての事件記録が電子化されています」
――働きやすさやテレワークなどを進めるうえで、大切にしてきたことはありますか。
古家野さん「事務所理念である『Happiness&Fairness』をこうした取り組みにおいても大切にしてきました。具体的には、メンバーそれぞれの人生がより豊かになるように、負担が一部の人に集中することのないように、です。
とくに弁護士については、各弁護士が自分の仕事の方向性と、働き方を主体的に選択できる状態を目指しています。
事務所として事業をしっかり持続させつつこれを実現するには、弁護士間の協働が欠かせません。そのためには密なコミュニケーションが必要です。ビジネスチャット上のやりとり、週1の弁護士ミーティング、3カ月ごとのワークショップなどを通じて、業務課題や経営課題だけでなく、必要に応じて自身の家庭状況なども共有しながら、互いのチャレンジを応援し合っています。
――仕事と家庭の両立のために利用しているサービスなどはありますか。
古家野さん「テレワークは、子育て期にある私にとって一番の助けとなっていますが、あわせて家事サポートやシッターサービスも積極的に活用しています。
家事サポートは、その時々で掃除、食事の作り置き、食材配達などを利用してきました。現在はシッターさんに平日週3回来てもらって、できるだけワンオペにならないようにしています。夕方以降に仕事をしなければならないときは、ベビーシッターを利用する際に使える割引券(※)があるので、それを活用しています。割引券は在宅ワークでも利用できるので助かっています。両立のために利用できるサービスはいろいろあるので、自分に合うものを見つけることが大事だと思います」
(※)企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の承認事業主になると利用できるサービス。詳細は公益社団法人全国保育サービス協会の案内をご覧ください。