コンプライアンスを守るための組織を作り、大々的にアピールしていたのに?!
でも、それは致し方ないことなのかもしれません。そもそも会社って、利益を上げるための装置です。常に売上や利益をいかに増やすかを考え、実行に移していきます。会社の中で評価されるのは、利益を増やすことに貢献した人です。
会社には、法律に触れたり、社会的規範に沿わないようなことであっても、それで利益が増えるのであれば、よしとされてしまう文化がどうしても生まれやすい宿命的な構造があります。
たくさんの利益を上げれば優良な会社だと評価されますが、その利益が生み出されるプロセスの健全性までは、なかなか外部からは見えませんから。
だから、「わが社はコンプライアンスを推進します!」なんて当たり前のことを宣言しなければ、コンプライアンスを軽視して利益第一で商売している会社との違いが示せないということなのだと思います。
そんなことを考えながらニュースを見ていたら、またまた会社の不祥事のことを報じているではないですか。今度は、東京オリンピック・パラリンピックをめぐって賄賂が渡された疑いがあるのだとか。
そこに名前が挙がってくる会社も、ことごとくコンプライアンス推進をうたっています。
それどころか、わざわざコンプライアンスを守るための組織を作り、体制図まで掲げたりして大々的にアピールしているではないですか。こうなるともう、「コンプライアンス推進詐欺」では...?
もちろん、ほとんどの会社は言葉の通りコンプライアンスを推進しているはずですが、わざわざ宣言しないといけない世の中ってどうなんでしょう?
ある日突然、「私は法律守りますよ」などと言い出す人がいたら、「何かやましいことでもあるのかな」とかえって怪しく感じてしまうというものです。
世の中に、コンプライアンス推進をアピールしないといけない風潮があるうちは、会社の不祥事ってなくならないんだろうなって思います。
(川上敬太郎)