代理店チャネルを中心に生命保険事業を展開しているSOMPOひまわり生命保険株式会社。「健康応援企業」を目指して、保険本来の機能に、健康をサポートする機能を加えた「Insurhealth(R)」(インシュアヘルス)を新たな価値として提供することを掲げている。
同社で神戸支社長を務める浅野聡子さんは、2度の育休を経て、事務職から営業職にキャリア変更し、支社長に就任した経歴の持ち主だ。これまでの経歴やキャリア転換、支社長という仕事への挑戦について浅野聡子さんに話を聞いた。また、同社の女性活躍に関する制度や取り組みについて、人財開発部の業務課長髙山すみ代さんと副長吉田志帆さんにも話を聞いた。
2度の育休で感じた変化...会社の「産休育休」推進が加速
―― 一般職で新卒入社されて、2019年から支社長に就任されたとのことですが、事務職を長く務め、その後、営業社員をまとめる支社長になった経緯を教えてください。
浅野聡子さん「一般職として入社し、10数年、営業店の事務などの事務畑を歩んできました。2014年に、事務職をしながら代理店担当者、いわゆる営業職を一部担ったことが営業職への転換のきっかけとなりました。
この時、当社は、事務職の社員が営業職に挑戦できるような人事制度の改定に取り組んでいたので、その試みの第1弾として、長く事務職を務めていた私が選ばれました。その後、支社で業務課長という支社長のサポート役を務めることで経験を積み、2019年4月からは神戸支社の支社長として、現在は17名の社員を率いています」
――これまで、2度の育休を取得されたとのことですが、当時、育休をとった時はどのような状況でしたか。
浅野さん「2005年と2010年に出産し、それぞれ約1年間、育休を取得しました。1人目を出産した時は、会社に育児休業制度はありましたが、現在と比べて活用する社員がまだまだ少ない時代でした。今のように、産休育休制度を会社側が全面的に推進するという雰囲気は感じられず、現在用意されている『育児休業者向けのマニュアル』のような情報もほとんどありませんでした。そのため、必要な情報は、職場などでの個人と個人とのつながりの中で得ていました。2回目の育休取得の際は、時代も代わり、会社としての支援が強化され、1人目より制度利用者も増え育休を取りやすい雰囲気になっていました」
――支社長は、営業目標の達成などプレッシャーがかかる大変な仕事だと思います。現在、仕事と家庭の両立はどのように工夫されているのでしょうか。
浅野さん「支社長は、支社の営業目標の達成に責任を持っていますが、その実現のためには人財育成が大事だと考えています。神戸支社は、社歴の浅い社員も多く在籍しているため、営業活動では、私自身が取引先を訪問し、提案する姿を見せることも求められます。
一番大変なのは、体力面ですね。これまでの仕事では体力面での不安は感じたことはなかったのですが、支社内外で忙しく動きまわる中で、もっと体力があればと思うことが多々あります。
現在、子どもたちがある程度大きくなっているということもあり、どちらかというと平日は仕事優先の生活になっています。週末は家事をサボってでも、しっかり休むというところでバランスをとっています(笑)」
女性に限らず、あらゆる社員がいきいきと活躍できる環境に!
――続いて、吉田さん、髙山さんにおうかがいしたいと思います。SOMPOひまわり生命保険では、会社として、子育て支援や女性の働きやすさなどについて、現在どのような制度や取り組みがありますか。
吉田志帆さん「当社独自の取り組みとしては、妊娠・出産・介護を目的とした『週4勤務制度』を設けています。育児の場合は、子どもが小学校3年生の学年末まで利用でき、そのほかに用意している短時間勤務やシフト勤務制度との併用も可能です。また、短時間勤務についても、5時間、4時間勤務も選択ができる制度としています。
このほかにも、転居転勤免除制度や希望勤務地制度、配偶者同行制度などもあります。仕事と育児・介護の両立を実現する環境を整備し、働き方の選択肢を増やすことで、社員が長く健康でいきいきと働ける環境づくりに取り組んでいます」
――これまで、会社で進めてきた代表的な女性活躍推進の施策はどのようなものがありますか。
髙山すみ代さん「女性の飛躍的な活躍を目指し、当社でも、2016年から次世代管理職育成プログラム『スタープログラム』をスタートさせました。このプログラムは、管理職候補となる女性社員を選抜し、1年間にわたり所定の研修や講義などを受講することで、管理職としても活躍できる人財の育成を目指し、浅野支社長も第1期として参加しています。
このほかにも、管理職の女性社員が、さらなるステップアップに向けて、経験や意識を高めるための『サンフラワープログラム』も実施してきました。今では会社の方針として、女性に特化したこれらのプログラムは形を変え、男女共通のプログラムとして実施しています」
――女性の管理職比率の目標と現状、女性の支社長の数はどうなっていますか。課題はありますか。
髙山さん「女性管理職の比率の目標として2023年度末で30%を目指しており、2022年4月1日時点で約25%となっています。営業店の支社長(マネジメント職)としては、全77名中、女性は9名です。現状では、女性の管理職は首都圏に中心に在籍しており、地方の営業店の女性社員は、身近にロールモデルが少なく、キャリアパスを描きにくいのではないかという課題があると思っています」
――そういった課題には、どのように対応していくのでしょうか。
髙山さん「2021年度より『どこでも本社勤務』制度を導入しています。これは、地方営業店の女性社員が、地方に在住のままフルリモートで本社業務を行う制度です。勤務地が限定的であった社員に、これまでとは違う業務に従事してもらうことで、キャリアビジョンにも変化が生まれ、ロールモデルとなるような人財との接点を増やすこともできる制度です。2022年度も、従来の働き方や経験にとらわれない、新しい多様な視点・発想を取り入れる機会として拡充していく予定です」
――女性活躍という観点から、ご自身が今後取り組みたいことを教えてください。
髙山さん「会社の取り組みによって、男女関係なく活躍できる環境は整ってきています。昨年度までは、『女性活躍推進』という言葉が先行していた場面もありました。しかし今後は、会社として、女性活躍、シニア活躍などの概念を越えて、あらゆる社員が自然にいきいきと活躍できる環境を目指したいと考えています。そのため、女性に限らず全社員がさらに成果を出せるように、人財育成を担う立場として社員の生産性をより高め、会社に貢献していきたいと考えています」
――浅野さんはいかがでしょうか。
浅野さん「私は、会社の目標に沿って、その目標達成に貢献したいという気持ちを強くもって働いてきました。正直なところ、会社の施策、周りの人や上司や人事のサポートによって、また、時代の流れにうまく乗ることができ、ここまでこれたと思っています。支社長の肩書があるから出会えた方や経験できたことも多くあります。女性の管理職も増えてきましたが、より多くの女性社員にもこういった魅力のあるポジションを目指してほしいと思います。私自身も支社も、生産性を高めて、ワークライフバランスがとれる環境にしていきたいですね」
――ありがとうございました。
(聞き手:戸川明美)
【プロフィール】
浅野 聡子(あさの・さとこ)
SOMPOひまわり生命保険株式会社 神戸支社長
2000年4月新卒入社。生命保険営業部門に従事し、事務や営業担当者の後方支援を担う。
2019年から現職。高校生と小学生の母。
吉田 志帆(よしだ・しほ)
SOMPOひまわり生命人財開発部企画G 副長
2005年に入社。約15年営業店で事務や営業を経験。2021年に「どこでも本社勤務」制度の1期生として現職。中学生と小学生の二児の母。
髙山 すみ代(たかやま・すみよ)
SOMPOひまわり生命 人財開発部 人事G 業務課長
2001年に中途入社。営業店で約6年勤務後、事務インストラクターや事務企画部門を経験。2017年から現職。小学生と保育園児の二児の母。