株式会社LIXILは2011年、トイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品や窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供してきた5社が統合されて誕生した業界最大手企業だ。
その後、海外の世界的ブランドを傘下に収め、世界150か国以上で約5万人の従業員を擁するグローバル企業となった。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みが目覚ましい。D&Iの一環となる、日本国内の女性活躍推進の活動では、女性活躍推進に優れた上場企業が選ばれる「なでしこ銘柄」にこれまで6回選出されている。
今回、LIXIL誕生後どのような活動を進めてきたのか――。D&Iグローバルリーダーの小竹茜さん、D&I国内担当の小林真理さんにうかがった。
CR戦略では「多様性の尊重」が優先分野のひとつ
――グローバル企業となり、女性活躍推進をどのように進めてきたのですか。
小林真理さん「女性活躍はLIXILになってから、とくに注目されるようになりました。LIXILになる以前の旧個社もそれぞれの制度はありましたが、女性を含む誰もが働きやすくするためには、どのような制度が必要なのか検討し、新たな制度設計、施策を行いながら現在の制度になっていきました。10年近くが経ち、LIXILになってから入社したメンバーも増えました。現在、制度も整えられ、より多様な人材が働いている環境になっていると感じています」
小竹茜さん「2011年、国内での統合に加え、海外企業との統合を通じてグローバル企業となりました。国内というよりは、海外のスタンダードとも照らし合わせたときに、女性の管理職が少なく、多様な人材をさらに活かしていかなければならないと考え、ダイバーシティに取り組んできました。2015年にコーポレート・レスポンシビリティ(CR)戦略を立て、『多様性の尊重』を優先分野の一つとして掲げました。また、2019年には『グローバルD&I部』を設立し、全世界共通のD&I推進施策の展開に取り組んでいます」
――女性管理職を伸ばすために取り組んできたことを教えてください。
小竹さん「2021年4月にD&I戦略を更新し、2030年までに全世界の管理職の30%を女性とするという目標を設定しました。日本でも、実力を持った女性が昇進し、活躍できるような環境づくりを推進しています。たとえば、日本国内で2020年3月期まで実施していた次世代経営人材育成プログラム『TAP(Talent Acceleration Program)』では、若手クラスの受講者の女性比率を20%以上とする目標を毎年達成してきました。さらに2021年3月期からは、次世代の幹部候補人材を対象とした選抜型の人材育成プログラム『NEXT/NEXT 2nd』を開始し、引き続き女性の活躍推進に取り組んでいます」
小林さん「文化醸成として、日本では2013年に女性にフォーカスした従業員ネットワーク『LIXIL Women's Network』を立ち上げました。その後2017年には女性だけでなく、育児・介護、障がい、性的マイノリティなどテーマを広げ、『LIXIL Diversity Network』に拡大しています。女性にフォーカスした活動では、男性中心である建設業界で直面する悩みや課題を従業員同士が共有し、解決のための行動につなげています。2022年2月には、さらにこの活動を発展させるべく、グローバルでのERG(Employee Resource Group:従業員リソースグループ)を立ち上げ、よりインクルーシブな環境の構築を進めていきます」