働きがいの調査や評価、支援にグローバルで取り組む専門機関「Great Place to Work(GPTW)」が選出した、2022年版日本における「働きがいのある会社」ランキングの大企業部門に、アメリカン・エキスプレス・インターナショナルが今年も名を連ねた。女性ランキング2位、総合ランキング5位だった。
女性ランキングは発表開始以降6年連続、総合ランキングは12年連続のトップ10入りで、アメックスの存在感は際立つ。GPTWの調査は社員の声をもとに評価するため、社員たちは「働きがいがある」と心から信じている、ともいえるだろう。
そんなアメックス社内では、「働きがいのある会社」であるために、どのような取り組みが行われているのか――。同社の活動事例や女性活躍推進などを、グローバル・サービス・グループ副社長の水村直美(みずむら・なおみ)さんに聞いた。
社員の働きがいサポート&交流を図るERG活動
――アメックスが「働きがいのある会社」として高い評価を受けています。アメックスではどのようなビジョンを掲げ、また、社員のみなさんが働きがいを持ち、日々の仕事に取り組んでいるのでしょうか。
水村直美さん「私たちアメックスでは、『日々、世界最高の顧客体験を提供する。』をグローバルのビジョンとして掲げています。そして、そのためには社員が働きがいを感じ、ベストなパフォーマンスを発揮できる環境が大事だと考え、さまざまな取り組みを推進してきました。
GPTWのランキングは、社員の声も評価対象となることから、実際に社員のみなさんが『働きがいがある』と感じてくれていることに対し、とてもうれしく思います。また、今回の話題をあらためて知った別の社員が『アメックスはいい会社だ』と、これまで以上に働きがい、仕事のやりがいを感じてくれることを楽しみにしています。
今回の評価を振り返ると、働きがいのある社内環境を整える努力を継続してきたことが大切だったと思います。たとえば弊社では、社員が毎年、会社やリーダーへのフィードバック――点数をつけたり、コメントを入力したりしています。その結果は本人も見て、『よくなかった』ことには改善策を打ち出します。それに対する社員からのフィードバックがあり、再び改善につなげる――その繰り返しを続けてきました。改善が見られると、意見した社員も、自分の声がきちんと届いていることがわかり、より活発に意見が言えて、ダイバーシティ(多様性)が尊重された環境につながるものです。こうした地道な取り組みが、働きがいのある会社を下支えしていると思います」
――今回の受賞では、アメックスが推進するDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取り組みが評価されました。
水村さん「DE&Iは大事な戦略のひとつです。私たちが考えるダイバーシティとは、人それぞれの違い――国籍、性別、文化、性的志向などを尊重するとともに、その違いを受け入れようという姿勢です。また、仕事のうえで平等にチャンスがあることも重要ですね。
DE&Iを推進して、働く環境をもっとよくしていくには、ソフトとハードが大事です。ソフトとは会社に息づくカルチャー、文化のこと。ハードとは会社として行う制度のことです。両方がバランスよくそろって初めて、真の意味でDE&Iを実践できると思います。
ソフトを担う取り組みのひとつであり、会社としても注力しているのが、共通項を持った社員が集まって自主的に活動する『エンプロイー・リソース・グループ(ERG)』の活動です。社員の働きがいをサポートするとともに、社員間の交流を図る場となっています。
ERGの活動の代表例が、女性の活躍支援のコミュニティー『WIN(Women's Interest Network)』や、LGBTやそのサポーターが参加する『PRIDE+ネットワーク』です」
――詳しく教えてください。
水村さん「各コミュニティーのテーマに興味を持ったメンバー(社員)が部門横断で集まり、『いま必要なことは何か』を考え、視野を広げたるための各種イベントや啓発セミナーなどを定期的に企画しています。アメックスがユニークなのは、社員のボランティアによって運営されるERG活動ではあるものの、会社のサポート体制があることです。各コミュニティーには予算をつけています。また、エグゼクティブ層がスポンサーとして参加しています。私自身も『WINエグゼクティブ・スポンサー』を務めています。もっとも、スポンサーといっても、上下関係は取り払われていて、一緒に取り組むメンバーの一人、という感覚です。エグゼクティブ層が参加することで、透明性が高い活動にもつながります」