家族で参加できるオンライン形式は、子どもの食育にも役立つ
――藤田さんが、食育に関わるようになったきっかけ、ヴァカボに参加されたのはどのような経緯だったのでしょうか。
藤田さん「さまざまな仕事をしてきた中で、食育に関わる転機となったのは、2013年に野菜ソムリエの資格をとったことでした。ただ、資格には合格したものの、すぐに活躍の場はありませんでした。
最初はフリーランスで活動していましたが、『仕事は自分で作らなくてはダメだ』と一念発起して会社を作りました。それから、野菜ソムリエ、調理師、栄養士、コーディネーターなどさまざまな食の資格者(食のオタクと呼んでいます)に登録してもらい、企業からの講演活動や講師、ワークショップ運営など請け負う仕事をはじめたんです。そのころ、社長仲間として知り合ったのが、ヴァカボの現社長、長岡康生さん。やりたい方向性が同じだったので、事業ごと合流するというかたちで2016年にヴァカボに参加しました」
藤田さん「2017年から始めたプログラムで、当初は、企業の会議室などのスペースに、社員の皆さんに集まっていただく対面形式で運営していました。でも、コロナ禍によって、集まること自体ができなくなってしまい、導入企業からサービスを休止したいという連絡が相次いだんです。
何かオンラインでできないかということで、オンライン形式の『食育マルシェ』を開発し、野菜マルシェは『おうち便』という宅配の形で利用いただけるようにしました。オンラインの長所としては、家から参加できるので、ご家族や子どもと一緒に食育セミナーに参加いただけること。お子様の食育にもダイレクトにつながっていると感じます。企業のニーズを聞きながら、食育マルシェの形も試行錯誤してきて、また徐々に導入企業が増えてきています」
――今後の課題について教えてください。
藤田さん「会社としては、今、大手企業と食育に関して協業するアクセラレータープログラムが進んでいます。今後は、このプログラムを成功させながら、さまざまな他の企業とのコラボレーションの機会も追求していきたいと思っています。そのためにも、当社側の人材・リソースを充実させて、もっと大きな組織にしていくことが課題です。私が担当している食育マルシェやさまざまなコンテンツ作りは、さらに充実させることで、別の企業とのコラボレーションの成功にもつながっていきます。目下の目標としては、食育マルシェへの参加企業をもっと増やすことですね」
(聞き手 戸川明美)
【プロフィール】
藤田 久美子(ふじた・くみこ)
株式会社VACAVO(ヴァカボ)取締役 食オタMAGAZINE編集長
大学卒業後、小学校教諭として教職に。2016年には野菜ソムリエアワードで約5万人の中の日本一に輝く。その後、食育カンパニー株式会社VACAVO(ヴァカボ)創業メンバーとして、2020年同取締役就任。食育マルシェの企画・セールス・コンテンツ制作や、メディア関連の出演・制作・編集ほか、健康経営普及推進活動なども行う。