用事のついでに、いつもとは違うスーパーに寄った時のこと。レジの先頭に並んでいると、店員さんから声をかけられました。
「2番目にお並びのお客さま、どうぞ!」
自分の番だと思って動こうとしたその刹那、もう一人の自分が囁きました。
いつの間にか定着した「違和感」ある決まり文句
「ちょっと待て、自分よ。お前は先頭で並んでいたのだから、『1番目』に並んでいる客だ。店員が声をかけたのは『2番目』に並んでいる客だぞ。それは、お前の後ろの客ではないのか?」
おっと、自分じゃないのか。でも順番を考えれば、次は先頭で並んでいる自分のはず。レジは一台しか動いてないから、隣のレジへと誘う呼びかけでもないぞ。はて、なにゆえ「2番目」の客に声をかけるのか? さっきレジしていた人を1番目と見なしているのか、あるいは「先頭で並ぶ客」を言い間違えたのか......。
などと思いつつ、「2番目」に並ぶ真後ろの客に目をやっても、動く気配はありません。グズグズ考えていては他の客にも迷惑なので、人差し指を自分に向けて、「私のことですか?」と尋ねるポーズをとると、店員は「どうぞ」と招く仕草をしながら、笑顔でレジに案内してくれました。
そうか。やっぱり自分のことだったのか。まあ、シチュエーションから考えて、それしかないわな。「2番目でお並びの」なんて言うから一瞬混乱したではないか。やっぱり言い間違えかな、などと思いながらレジを終えると、次の客に向かって店員さんが言いました。
「2番目にお並びのお客様、どうぞ!」
後日、この「先頭で並ぶ客は1番目なのか、やっぱり2番目と呼ぶのか」問題を友人たちに投げかけてみたところ、「私も同じ疑問を持った」という人もいれば、「そんなこと疑問にも思わなかった」という人までさまざま。
なかには、コンビニでバイトしていた時に同じ疑問を持ったものの、店長が怖くて意図を確認できなかったという人もいました。なるほど、決まり文句に違和感を覚えても、そんなふうに疑問を投げかける機会を失って、いつの間にか慣習化していくものなのかもしれません。