採用時の「大切にする」は見せかけか!? ナゼ会社は「バカ野郎」とパワハラで社員を追い込むのか?【vol.7】(川上敬太郎)

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上司たちから浴びせられた暴言

「バカ野郎」
「うそつき野郎はあぶりだすからな」
「お前はダメなやつだ」
「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」
「死んだほうがいい」

   これらは報道で、パワハラによって自ら命を絶った社員が、上司たちから浴びせられたとされる暴言の数々です。叱責すればなんとかなるという叱責妄信型の上司が、かけがえのない命を奪い、「社員を大切にする」と掲げた経営者の理念も、苦労して採用した人事の努力も台無しにします。

   パワハラで命を奪うくらいなら、最初から採用しなければよいではないですか――。

   会社組織の場合、採用する部門と配属される部門とは異なることが殆どです。しかし、会社内で起きていることは、法人単位で考えると一体的なものです。 なかには採用したものの、思うように成果が出せなかったり、業務態度が不誠実な社員もいたりすることでしょう。だからといって、パワハラで追い込むくらいなら、法的リスクを負ってでも退職勧奨するほうが、まだ人間らしい対応のように思います。

   さらには暴言は吐かず、口をきかない、仕事を取り上げる、孤立させる......。そんな陰湿なイジメも非人間的。これらは自ら手を下さず、職場の雰囲気にヒトを追い込ませるヤリクチです。

   パワハラをなくすことはもちろんですが、採用時に社員の資質を見抜けなかったこと、入社後にうまく育てられなかったこと、能力を社内で活かせなかったことなどの失敗を認めて改めないと、会社はいつまでも同じことを繰り返してしまいます。

   パワハラで社員を追い込む会社に、そもそも採用する資格などあるのでしょうか。新たに求人を募集する前に、まずそのことを自らに問いかけるべきなのではないですか。

(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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