上司たちから浴びせられた暴言
「バカ野郎」
「うそつき野郎はあぶりだすからな」
「お前はダメなやつだ」
「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」
「死んだほうがいい」
これらは報道で、パワハラによって自ら命を絶った社員が、上司たちから浴びせられたとされる暴言の数々です。叱責すればなんとかなるという叱責妄信型の上司が、かけがえのない命を奪い、「社員を大切にする」と掲げた経営者の理念も、苦労して採用した人事の努力も台無しにします。
パワハラで命を奪うくらいなら、最初から採用しなければよいではないですか――。
会社組織の場合、採用する部門と配属される部門とは異なることが殆どです。しかし、会社内で起きていることは、法人単位で考えると一体的なものです。 なかには採用したものの、思うように成果が出せなかったり、業務態度が不誠実な社員もいたりすることでしょう。だからといって、パワハラで追い込むくらいなら、法的リスクを負ってでも退職勧奨するほうが、まだ人間らしい対応のように思います。
さらには暴言は吐かず、口をきかない、仕事を取り上げる、孤立させる......。そんな陰湿なイジメも非人間的。これらは自ら手を下さず、職場の雰囲気にヒトを追い込ませるヤリクチです。
パワハラをなくすことはもちろんですが、採用時に社員の資質を見抜けなかったこと、入社後にうまく育てられなかったこと、能力を社内で活かせなかったことなどの失敗を認めて改めないと、会社はいつまでも同じことを繰り返してしまいます。
パワハラで社員を追い込む会社に、そもそも採用する資格などあるのでしょうか。新たに求人を募集する前に、まずそのことを自らに問いかけるべきなのではないですか。
(川上敬太郎)