お手頃で美味しそうな食材をスーパーで見つけて買ったものの、気がつくと冷蔵庫の奥で傷んでしまっていることがあります。
買った時の「意思」と、その後の自分の「行動」とが矛盾してしまった結果、せっかくの食材を粗末にしてしまう。自分が買わなければ、他の人がもっと有効に使ってくれたかもしれません。安易に買うべきじゃなかった、と後悔しても後の祭りです。
そのように意思と行動が矛盾しても、「モノ」であれば失敗談で済ませられるのかもしれません。しかし、対象が「ヒト」となれば話は別です。「意思と行動の矛盾」が、大きな悲劇へとつながりかねません。
経営者は「企業は人なり」と口をそろえる
「意思と行動の矛盾」は、会社組織でも起こります。
会社組織を発展させるために採用を行っている経営者や人事担当者は、求める人材との出会いに、いつも頭を悩ましています。
ハローワークや求人広告を利用して募集しても、応募者は簡単には集まりません。ようやく応募があったとしても、求める人材に巡り合えることは稀です。それでも粘り強く何度も募集を繰り返し、面接し、ようやく内定を出したいと思う人材と巡り合えたと思ったら、内定辞退で他社にとられた!なんてこともあります。
一方、経営者は「企業は人なり」「人材こそがわが社の財産」などと公言し、どこの会社でも社員を大切にする姿勢をアピールしています。「わが社は業績さえ上がれば良いので、社員など使い捨てのコマに過ぎません」などと公言する経営者を見たことがありません。もちろん、本音のところはわかりませんが......。
それなのにナゼ、過重労働やパワーハラスメントで心身を追い詰められ、社員が自ら命を絶つような事件が未だに後を絶たないのでしょうか?
社員は、仕事で追い詰められ、命を奪われるために入社したのではありません。会社としても、苦労してようやく採用できた人材だったはずです。