女性ならではの視点で行う「仕事と子育ての両立」支援が定着 福井県民生活協同組合の小林文さん

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「男性も女性も働きやすい職場を目指す」

「女性のつどい」に集まった女性職員(福井県民生活協同組合 提供)
「女性のつどい」に集まった女性職員(福井県民生活協同組合 提供)

   ――仕事と子育ての両立支援制度が手厚いですね。また、女性活躍という視点ではいかがでしょうか。

小林さん「非正規のパート職員から正規の職員に登用する『登用制度』があります。以前からあったのですが、2014年から積極的に進めていくようになりました。人材不足や頑張っている人により長く働き続けてほしいという思いからです。現在、当生協の女性の割合は、正規職員で52.2%です。非正規のパート職員は女性が多いので、本人の希望を聞いたうえで登用していくことで女性の比率も上がってくると思います。一例として、2012年にお店のパート職員として採用された女性が2018年に正職員になり、今秋から副店長として活躍しています。パート職員の中には熱意のある方も多く、自分で通信講座を受講し、努力されている方もいます。このような通信講座は正規、非正規関係なく同じく一部補助の制度を設けています。
2012年から年1回『女性のつどい』を行っています。分散して勤務しているため、自分のロールモデルが近くにいない、自分の悩みを相談したいなどの理由で若手の女性職員を中心に集まり、先輩職員への質疑応答から、将来のことを考える会です」

   ――事務局として大切にしていることはありますか。

小林さん「『女性が働きやすい職場=男性も女性も働きやすい職場』と考え、子育てだけでなく、介護をする職員、最終的にはすべての職員にとって働きやすくするために取り組んでいますが、制度とともに風土をつくることが重要です。りっぱな制度だけあっても取得しやすい風土がなければ、取得するのが悪いなとか後ろめたいと思うよりは、みんなが『いいよ』と言える職場をつくることだと思います。当生協では、以前からの取り組みによって風土も醸成されてきていますが、今後も継続して職員が働きやすいように取り組んでいきます」

   ――企業風土をつくるために事務局はどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

小林さん「所属長がキーポイントになっていると思います。所属長がしっかりと制度があることを理解する。所属長の上の部長にも制度を推進してもらうこと。所属長の中には制度を取得できる男性もいますので、まずは配偶者出産休暇やベビー休暇制度を取ること。また自分が取ったことで、『取得したほうがいい』と言えるように、所属長に伝えていくことだと思います。
現在、女性管理職は22.4%です。女性が自ら本気で管理職にチャレンジしていけるようにすることも大切だと考えています。自己学習の形式ではありますが、男女問わず管理教育について学ぶ『経営塾』があり、今までは金曜日の夜に開催していましたが、両立支援を受けている女性には通いづらいこともあり、受講者の希望を募り、今年度は日中開催になりました。このように少しでも意欲のある方たちが行動しやすいように事務局でも応援していきます」

   ―-「さばえ38組」の活動について教えてください。

「鯖江地区の経営者でまとまり、女性活躍推進の決起集会がありました。当生協は地域に根差した活動をすることを大切にしていますので、地域連携には積極的に参加しています。女性が頑張れる職場は、女性の声を聞けますし、求めていることも聞けますので、うまく循環していくといいと思っています」

(ライター:水野矩美加)


プロフィール
小林 文(こばやし・ふみ)
福井県民生活協同組合 管理部 人財教育・採用 課長
2000年大学卒業後に福井県民生活協同組合に入協。入協後、1年間宅配事業の担当者として業務に従事。その後、共済担当者、総合品質管理室の課長を経て、2015年より現職。

水野 矩美加(みずの・くみか)
水野 矩美加(みずの・くみか)
アパレル、コンサルタント会社を経てキャリアデザインをはじめとする人材教育に携わる。多くの研修を行う中で働き方、外見演出、話し方などの自己表現方法がコミュニケーションに与える影響に関心を持ち探求。2017年から、ライター活動もスタート。個人のキャリア、女性活躍、ダイバーシティに関わる内容をテーマに扱っている。
戸川 明美(とがわ・あけみ)
戸川 明美(とがわ・あけみ)
10数年の金融機関OLの経験を経て、2015年からフリーライター、翻訳業をスタート。企業への取材&ライティングを多く行う中で、女性活躍やダイバーシティの推進、働き方の取り組みに興味をもつ。
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