創業の想いは人事制度に受け継がれている
――パソナグループでの女性活躍も以前から取り組まれていますが、どのようなものがありますかー
金澤真理さん「当社は1976年に、創業者の南部靖之が、企業理念『社会の問題点を解決する』を掲げ、主婦の再就職を応援したいという想いから事業をスタートしています。当時、女性は一度家庭に入ると、経験やスキルを活かした仕事に就くことが難しい時代だったようです。子育てがひと段落した主婦の社会進出の場を提供するために、人材派遣事業をスタートしました。創業時の想いは今も変わらず事業活動や人事制度にも受け継がれており、社内において、性別による役割やルールの違いはありません。
当社の女性活躍の状況は、女性の占める割合は62.6%、全管理職に占める女性の割合は51.5%で、役員に占める女性の割合は31.4%となっております。女性社員の出産後の復職率は100%。出産・育児後、ライフステージが変わっても安心して戻ってこられる環境を拡充しています。
当社企業内保育園「パソナファミリー保育園」に子どもを預けて働くことができるのもその一つです。
また、産休・育休復帰後のサポートとして、2013年から実施する『IDOBATA会議』があります。役員やキャリアメンターとなるベテランママとの情報交換や棚卸を通じて、自律的なキャリア形成に繋げています。(『IDOBATA』には、Innovation「変革を起こす」 ・Do「行動する」 ・Balance「ソーシャル・ワーク・ライフバランスを実現する」 ・Talent「才能・能力を活かす」の意味が込められています)
同年2013年には、子供を持つ男性社員による『パパプロジェクト』が発足、育児・家事参加することで間接的に女性の活躍を後押しし、現在でも社内セミナーなどを通じた啓蒙活動を行っています。女性に限定しているわけではありませんが、『パソナファミリーケア・プログラム』では、介護で休みを取らなければならない社員に対して、当社グループ会社「パソナライフケア」のケアマネージャーによる相談窓口があり、介護情報の提供や家事代行サービスの提供など、会社全体で働く環境をサポートできるプログラムを用意しています」
――女性の管理職登用が多いことにですが、どのような施策がありますか。
芝陽子さん「女性活躍の観点では、2014年から実施してきた『ワンダーウーマン研修』があります。このプログラムは女性管理職が、さらなる高みを目指して『一歩前に踏み出す勇気』を持てるよう内容を組み立てています。ビジョンの描き方やリーダーシップをはじめ、キャリアの築き方について社内エグゼクティブから指導を受ける機会となっています。創業者の南部からも、どのような想いで事業を興してきたのか―トップリーダーとしての心構えを直接学びます。また、文化教養を磨くために一流の講師をお招きし、研鑽を積んでいます。これまでに、受講者の約7割が昇進・昇格し、経営に関わる役割に任用されている人も4分の1を占めるなど、多くの参加者がステップアップしています。
また、2014年開始した起業家育成プログラム『Ladies Be Ambitious』には、社員だけでなく社外の女性も参加されています。起業に関する実践的な講義をはじめ、事業リソース支援など、起業に向けて継続的にサポートする内容となっています」