OKRをマネジメントツールにする
◆ OKRの具体的な方法
・3か月先のなりたい状態(目的)をチームで定める。挑戦的な目標を掲げる(ムーンショット)
・そのなりたい状態(目的)になるための重要な結果(目標)を明確につなげていく。
・週1~月2回で短時間の進捗確認や方向合わせ(チェックイン)
・毎週、お互いの成果を褒めあう(ウィンセッション)
チーム全体で挑戦的な目的を掲げる(ムーンショット):O(Objective)
OKRでは3か月くらい先のなりたい状態をチームで定めます。この時、チームとして積み上げて計算してできる目標やゴールではなく、挑戦的な目標を掲げるということがポイントになります。
OKRでの目標や達成については人事評価に反映させないで運用します。挑戦的な目的を掲げて当然失敗することがありますが、そこについても前進できたということを重視します。
この挑戦的な目的に向けて重要な結果(KR:Key Results)となる目標をつなげていきます。
定期的な進捗確認(チェックイン)
重要な結果(KR)を出すための取り組み状況の共有や課題の共有などを行います。
毎週お互いに成果を褒めあう(ウィンセッション)
挑戦的な目標に向けて取り組んでいて、うまくいかないからこそ良いところに目を向けてお互いに褒めあう。挑戦的な目標を掲げるのはいいですが、できたこともできないこともたくさんでてくるわけです。あくまでも挑戦的な目標に向けての行動ですので、できなかったことではなく、できたことを確認しあうことで来週もがんばろう、というエネルギーにしていくわけです。
――目標管理ツールというと会社によっては人事評価との関係を考える方も多いのではないでしょうか。
奥田さん「はい。たしかに目標管理ツールというと人事評価と関連付けて考える方も多いですが、私はOKRをコミュニケーションツールだと伝えています。まず、目標管理とは(ピーター)ドラッカーが提唱した概念で、ドラッカーのいう目標管理とOKRは根本的には変わらない。いわばドラッカーの目標管理の発展形としてOKRがあるといったイメージです。ただ、一般的に言われている目標管理とは目標管理『制度』でして、人事部が評価するために目標を管理しているものが大半です。
しかし、目標の達成度合いが個人の評価やボーナスに関わるとなれば、高い目標を掲げることはしないでしょう。個人の目標を最優先に考える、他部門よりも自部門優先、自分優先となるわけです。
OKRの場合、挑戦的な目標を掲げてから定期的にチームの進捗や課題の共有(チェックイン)を行います。そのチーム進捗や課題状況によっては他のメンバーを助けるという判断もできるわけです。これは評価が別になっているからできることなのです」
◆ 中小企業はOKRをコミュニケーション方法に位置付ければマネジメントツールに使える!
中小企業では、OKRと人事評価と切り離してチームコミュニケーションのツールとして導入することで十分使えますし、リモート時代にあったコミュニケーション方法だと感じます。
リモートワークとなってチームリーダーの「1on1」の機会が増えているようですが、なかなか挑戦的なアイデアが出てこない、言われたことしかやろうとしない、といった声もよくききます。OKRは、リモートワークとなり「背中や場の空気」でリードできないリーダーの悩みがあるからこそ、今注目されているのかもしれません。
OKRは引き続き実践編へと深堀りします。
(聞き手 高井信洋)
プロフィール
株式会社タバネル 代表取締役
一橋大学商学部卒業。上場ファッションメーカー、化粧品メーカー、組織コンサルティンク?企業を経験。最大170人のマネジメントに携わる。自らのマネジメントとコンサルティンク?経験に基づき、成長企業の共通項OKRを用いた組織コンサルティンクを行う。
1975年生まれ。大阪市出身。
著書「本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR」