上司の「鶴のひと声」で結局は鉛筆ナメナメの評価に......
納得いかない私を黙殺したまま、ヘンな緊張感の中で淀んでいく空気。そんな空気も新制度のルールも意に介さず、上司の「印象」を軸に次々と決まっていく社員たちの評価。会議が終わると、ホワイトボードの一番上のランクには上司へのアピールがうまいだけの『印象番長』と思しき名前ばかりがやたらと目につきました。なんじゃこりゃ?
「評価制度を刷新する度に、決定権を持つ上司が『印象』で調整して、結局は鉛筆ナメナメに戻る、なんてことを繰り返してきた会社、たくさんありそうだなぁ」
苦い記憶を思い起こしながらブツブツ言っていると、中学校に通う次男坊が帰ってきました。
私:「なあ、テストの点数を無視してさ、先生が『印象』だけで成績を決めてたらどう思う?」
次男:「そりゃ、困るね」
私:「だよな。せっかく勉強頑張っても『印象』だけで決められちゃ、納得いかないもんな」
次男:「まあ、それもあるけどね」
私:「他に何が困るの?」
次男:「先生が『印象』だけで決めた成績だとさ、自分の実力がわからないよね」
そのへんのわからずや上司よりも、中学生のほうがよっぽど問題の本質を見抜いているじゃありませんか。世の上司のみなさま、淀んだ空気ばかり吸ってると、子どものころに備わっていたはずのピュアな感性が失われていくみたいですよ。(川上敬太郎)