「女性だから...」と言われ続けても仕事で挽回
――建設業界というと、「女性が少ない業界」という印象があります。女性の営業職ということでアドバンテージに感じたこと、反対に大変だったことはありますか。
間瀬さん「私自身は、これまで仕事の中で女性だからと意識することはほとんどありませんでした。いまでこそ、この業界で女性の営業も少しずつ増えてきましたが、それまではどの打合せに行ってもどんな場面でも、女性は私だけという状況が長く続いていました。そんな中で、『長谷工といえば間瀬さん』、『女性といえば間瀬さん』と言われて、みなさんに覚えていただきやすかったというのが良かった点ですね。
一方で、20代や30代の頃は、取引先から『担当を男性に代えてほしい』と言われたことが何度かありました。最近うたわれているDiversity & Inclusionの逆で、『女性だから信用できない』『若い女性だからすぐ辞めるだろう』『女性だから大きな取引は難しい」。なので『男性に代えてください』と......」
――そういうときはどのように対応していたのでしょうか。「続けさせてください」と交渉したりするのでしょうか。
間瀬さん「いいえ、受け入れていました。当時の上司と相談して、『お客様や取引先の方がご不安に感じるとおっしゃるのであれば、担当を代えてください』と伝えていました。当時は、男尊女卑の風潮がまだ残っていた時代でしたし、名古屋の保守的な土地柄もあり、そう言われたら、仕方がないと思っていました。
もちろん仕事については、手は抜かず、男性と同じように遅くまで働いていましたし、土日に出社することもありました。まだ若かったので体力もあり、がむしゃらに働いていましたが、いまは体力的にも同じようには働けませんね」
――名古屋支店は、若いスタッフが多いそうですね。支店長になって、コミュニケーション面で気を付けていることはありますか。
間瀬さん「なるべく話しやすい雰囲気を作るということは心がけています。これは支店長になる前からですが、報告に来てくれる若手社員の話は、必ずその場で聞くようにしています。自分がその時に別の仕事をしていても、中断して聞くようにしています。どうしても、その時に聞けない用事がある場合は、『用事が終わったら呼ぶから』と言いますね。
というのも、私も昔はそうでしたが、新人社員や若手社員は、報告のタイミングを見計らって、ドキドキしながら報告に来てくれていると思うんですよね。そういったドキドキや緊張を少しでも減らしてあげたいという思いがあります。そうしたことを続けていると、『あの席の前にいくと、必ず話を聞いてくれる』と思ってもらえるようになるんです。メールも然りで、『了解』『わかったよ』など短くても必ず返信をするようにしています。報告に対するハードルがなくなるので、いまでは若い社員は気負わずに報告や話しにきてくれていると思います」