シミックグループは、1992年に日本初のCRO(医薬品開発受託機関)としてサービスを始めた。最近では新型コロナワクチン接種における接種情報の登録・集計システムの提供(harmoワクチンケアwith コロナ)に加えて、住民からの問い合わせに対応するコールセンターや自治体への接種体制構築・運営支援等の各種支援事業に参入するなど、ヘルスケア業界において新たな風を吹き込む革新的な存在として知られている。
そんなシミックホールディングスの傘下でCRO事業を担うシミック株式会社は、女性管理職比率が30%を超えている。シミックグループのダイバーシティ推進担当で、シミック経営管理本部長の金丸恭子(かなまる・きょうこ)さん、経営管理本部の野田早紀(のだ・さき)さん、臨床事業本部の今村摩耶(いまむら・まや)さんに、その取り組みを聞いた。
コロナ禍のテレワークも順調 そのワケは?
――女性の管理職比率が30%を超えています。積極的な女性管理職の登用の経緯を教えてください。
金丸恭子さん「シミックグループは女性が社員の約6割を占めていますので、その比率からすると女性管理職が多いとは思っていません。ただ、多くの女性を新卒採用しているにもかかわらず、役職が上がるほど女性の比率が少ない傾向がありました。そこで女性も働きやすく、業務をリードできるように環境を整備してきました。創業者の中村和男(CEO=最高経営責任者)は創業時からダイバーシティの考え方を持ち、それは当社のCREED(信条)にも明記されています。このCREEDの冒頭には私たちの決意として『一度しかない人生を年齢や性別、人種にかかわらす、誰もがその人らしくまっとうしていくために、ヘルスケア分野に革新をもたらすことをシミックグループの志とする』という言葉が刻まれています」
――具体的にはどのような取り組みなのでしょうか。
金丸さん「ありきたりかもしれませんが、働き方の多様性を実現するために『フレックスタイム』『時間短縮勤務』『在宅勤務』を積極的に取り入れてきたことが、今につながっていると思います。以前から産後の女性社員向けの時間短縮勤務はありましたが、当初はお子さんが3歳になるまででした。その後、小学校入学前まで、現在では小学校3年生まで取得できる期間を延長しました。2015年から導入したフレックスは、すぐに活用されましたが、同じ時期に導入した在宅勤務は、利用する社員数がなかなか増えず、上手な運用を呼びかけてきました。こうした制度運用への取り組みがコロナ禍で、すんなりとテレワークが活用できた要因ではないかと思います」
――創業時は数人であった社員数が、今では7000人を超えるそうですが、創業者のダイバーシティへの理念をどのように浸透させてきたのでしょうか。
金丸さん「当社には創業時から、年齢や性別にとらわれないというカルチャーがありました。それを『CMICS CREED』という形に明文化したことがダイバーシティ推進に大きな力を発揮したと思います。社員は折につけCREEDの精神に立ち返ることが求められますし、それを発展させ、2020年には企業理念として『ミッション・ビジョン・バリュー』を定めました。女性社員のみに焦点を絞った制度改革をしてきているわけではありませんが、女性ならではのライフイベントをカバーする制度を取り入れることによって、すべての社員が活躍できる会社を目指しています」