課題は復職支援の充実
――周囲の方たちとの関係性はいかがですか。
田村さん「今の部署は若手の社員も多く、復職してすぐの頃は育児のために時短勤務をしていることや、急な発熱等で早退する場面も『迷惑と思っているのではないかな?』と不安に思っていたのですが、そう思っていたのは自分だけで周囲は普通のことと受け止めてくれていて、とても心強かったです。今後は、周囲の皆さんがライフイベントを迎えた際の働き方やキャリアの築き方について私自身がロールモデルになれるよう働きかけていきたいと思うようになりました」
――お二人とも時短勤務をされているようですが、時短勤務にはどんなものがあるのですか。
田村さん「私は、通常9時から17時15分のところ、9時から16時半までの勤務で45分間短い勤務をしています」
磯野さん「私は、9時半から16時半までの勤務です。当社では子どもが小学校3年生まで時短勤務をとることができます。その人によって朝ゆっくりとか夕方は早めに帰りたいなど都合がありますので、出社、退社の時間を前後で自由に調節できるしくみになっています。6時間、6.5時間、7時間の3種類があります」
――他に女性が働きやすい環境づくり、またはステップアップするために実践していることはありますか。
磯野さん「支援する仕組みの一つとして、従業員が利用できる保育所を全国に設置しており、月16日以上利用される場合は月1万円の手当がつくようになっています。その他は介護や病気のときに使える独自の休暇制度もあります。仕事と生活を両立していくための制度が充実していると思います」
――今後さらにあったらいい取り組みなどはありますか。
田村さん「復職の際の支援でしょうか。当社ではすでに育児休業から復帰すると「おかえり」という雰囲気があるのですが、さらに言えば横のつながりを持てると、より安心して復帰できると思います。時短で働くママさんたちのワークショップで意見交換できる場があると、他の人が育児と仕事の両立に向けてどのような準備をしているのか知ることができ、今よりももっと復職に自信が持てるように思います」
磯野さん「広報には、女性活躍に関する調査やアンケートがきますが、共通して聞かれる質問事項は社会的関心の高いものだと思いますし、他社事例なども取りまとめながら人事との連携を図っていきたいと思っています」
――今後の課題はどんなものがありますか。
田村さん「産休育休に限らず介護やケガなどでの復職される人がいますので、復職支援の充実を図っていきたいと思っています。復職の際は休んでいた期間を振り返り、今後どうしていきたいかを見て、家庭の都合と仕事のバランスを考えたうえで、会社との調整していく必要があります。働くイメージがつかずに休職したまま退職してしまうのは残念なことですから、復職の入り口で意見交換の場があるといいなと感じています。自分のロールモデルになる経験者もいるはずですので参考にして自分らしい働き方ができるようになってもらいたいです」
(聞き手:水野 矩美加)
プロフィール
田村 知美(たむら・ともみ)
株式会社ニチイホールディングス 人財採用部 人財採用課 係長
大学卒業後、2009年入社。人事部門にて新卒採用や新卒向け研修を担当。
2013年に新規事業(語学事業)の研修担当部門へ異動。
2015年に育児休業取得後、語学事業の管理部門へ復職。
2017年に2度目の育児休業取得後、2019年再び人事部門の採用担当として復職。
磯野 祥子(いその・しょうこ)
株式会社ニチイホールディングス 統合経営部 統合経営課 係長
大学卒業後、2010年入社。ヘルスケア事業支店 営業課にて介護サービスの営業を担当。
2011年に介護事業本部 管理部へ異動。コンプライアンスを担当。
2012年に広報部 広報課へ異動。IR、PR業務を担当。
2019年に育児休業取得後、2020年に同部署へ復職。