女性活躍推進の指標の一つ、管理職比率。株式会社ニチイ学館は、「2030(ニイマル・サンマル。厚生労働省から2020年に管理職に占める女性の割合で30%を目指すという指標)をはるかに超える78.5%(20年3月時点)の、驚きの達成率をたたき出した。
医療、介護、保育といった生活に密着したサービスを提供しているがゆえ、おのずと女性の就労が多くなるが、どのように管理職の登用を進めているのか――。同社の広報部広報課、係長の磯野祥子(いその・しょうこ)さんと人事統括本部、係長の田村知美(たむら・ともみ)さんに聞いた。
現場の「声」を聞いて取り入れる
※ 2021年4月1日より、株式会社ニチイ学館の持株会社制への移行に伴い磯野祥子さん、田村知美さんが所属する会社名が株式会社ニチイホールディングス(HD)に変わっています。
――女性の社員比率が93.4%とはいえ、女性管理職が78.5%とは高い比率ですね。どのように女性活躍を進めてきたのでしょうか。
磯野祥子さん「当社は創業が1968年で、医療事務の受託事業からスタートしています。その時に中心となってサービスを担ってきたのが女性です。その後、介護事業や保育事業などを展開してきましたが、それぞれの事業において女性が多く活躍しています。
女性が長く働いていくためには女性が直面する出産、子育て、介護といったライフイベントへの対応に加え、ご主人の転勤などへの対応も必要です。当社は、全国の支店やサービス拠点があり、支店・拠点間の移動もできるような体制となっています。女性が多い職場で、支店長の多くも女性ですので、お互い環境をわかり合えるところもあり、支店長どうしの連携体制ができています。家庭環境の変化に捉われずに長く働き、キャリア形成を支援する風土が自然とできあがってきたということです」
――創業当時からキャリアを積んだ方たちの中から管理職に登用していったということでしょうか。
磯野さん「そうですね。当社は人と関わるサービスですし、サービス技術をどんどん磨いていく必要があります。職種に合わせてステップアップしていく研修制度を整え、優秀な人材を育成し、管理職に引き上げていくという文化を創り上げてきました」
――経営側が女性を育て、その中から管理職に上げていくように主導されてきたのでしょうか。
磯野さん「現場があっての会社であると考えており、『現場力』の強さが当社の特徴の一つですので、現場の意見を積極的に取り入れてきました」