女性活躍なくして百貨店なし! 今後のキーワードは「アンコンシャスバイアス」 高島屋 人事部ダイバーシティ推進室の三田理恵さん

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保育スペースは高島屋で働く取引先の人も使える

店舗内の会議室などを活用して保育スペースを確保した(高島屋提供)
店舗内の会議室などを活用して保育スペースを確保した(高島屋提供)

――社内保育は、百貨店内につくっているのですか?それとも保育園などとの契約ですか。

三田さん「店舗の会議室などを活用して保育スペースをつくり、そこに保育専門業者に来ていただき、保育を実施してもらっています。この取り組みは、両立支援ということもありますが、繁忙時に仕事をして職場に貢献するのはモチベーションにも影響しますし、平日よりも接客機会の多い日曜・祝日に経験を積むことにより本人の能力開発にも寄与しますので活躍支援としても位置づけています。
また、百貨店はお取引先の販売員の方たちも多数いらっしゃるため、この社内臨時保育は、我々の直接雇用の従業員だけでなく、高島屋で働くお取引先の方も利用していただけるようにしています。実際のご利用も一定数あり、こうした取り組みを継続することによって社会課題への貢献に少しでもつながればと考えています。

――女性活躍推進を掲げて取り組んだというよりも、社員の方たちのニーズを生かす仕組みがあって、進んでいったということでしょうか。

三田さん「女性に限らず、貴重な人材が入社して育って来たら辞めてしまう、というのは会社にとって大きな損失です。圧倒的に女性が多い百貨店という事業を考えると、お客様の声に耳を傾けきめ細やかにお客様に寄り添って提案できる力、女性の感性と経験力が不可欠です。女性がライフイベントで辞めるのであれば何とかしよう、能力の発揮の阻害要因があれば取り除こう、という積み重ねをしてきた結果なのだと思います。
ただ、『女性活躍推進』は法律上整備された国の要請なので企業としてそれに応えようという後押しがあったのも事実です。より辞めなくてもいい制度を拡充しようという軸と女性の登用というもう一つの軸で何ができるのかを議論しました。当時、管理職比率、30%はまだ届いていなかったため、その実現に向けてアクションプランを立てて実行してきました。
当社の場合、2018年に30%を超えましたので次なる高みを目指すという段階に入っています。ここに至るまでには、2014年から2019年まで女性だけの選抜研修を集中的に行いました。女性の意識改革を目的にしたものでした」

――この選抜とは、どのようなものですか。上司の方が推薦するのでしょうか。

三田さん「当社の選抜研修は、部門長とすり合わせたうえで、人事からの指名です。年に一回、人事と直接面談をする機会があり、希望者全員と面談しています。そこで一人ひとりの状況が見えますし、部門ごとに行われる人材育成のための会議にも人事が参加して職場の状況や個々の課題や取り組みなどの情報を細やかに把握しています」
水野 矩美加(みずの・くみか)
水野 矩美加(みずの・くみか)
アパレル、コンサルタント会社を経てキャリアデザインをはじめとする人材教育に携わる。多くの研修を行う中で働き方、外見演出、話し方などの自己表現方法がコミュニケーションに与える影響に関心を持ち探求。2017年から、ライター活動もスタート。個人のキャリア、女性活躍、ダイバーシティに関わる内容をテーマに扱っている。
戸川 明美(とがわ・あけみ)
戸川 明美(とがわ・あけみ)
10数年の金融機関OLの経験を経て、2015年からフリーライター、翻訳業をスタート。企業への取材&ライティングを多く行う中で、女性活躍やダイバーシティの推進、働き方の取り組みに興味をもつ。
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