金融界をけん引するリーダーの輩出に向けた「流れ」つくる
――女性活躍推進の施策によって、社内外の反応は変わってきていますか。
森さん「現在、グループ内で女性の支店長は全体の約2割を占め、女性が海外の拠点長を担っているケースもあり、ロールモデルになる女性がだんだんと増えてきています。そういったこともあり、社内では、エリア総合職という地域限定型の働き方から、少しエリアを広げた広域エリア総合職や、全国型の総合職へと職制転向試験にチャレンジをしてキャリアップを目指すケースが増えてきています。
総合職になると転勤もありますが、女性でもふつうに転勤している人も多いですね。私自身も、入社後は東京でリテール営業に従事していましたが、神戸支店へと転勤して課長職を経て、2020年10月から東京に戻って人事という新たな分野に挑戦しています。
社外の反応という面では、女性活躍に優れた企業を選定する『なでしこ銘柄』に6年連続で選ばれているということもあり、男女問わずに優秀な学生さんから就職先として興味をもってもらえていると実感しています。以前は、証券会社というと『ツラそう、キツそう』といったイメージがあったかもしれませんが、そんなイメージも変わりつつあり、年々学生さんから弊社に対する評価が上っているように感じますね」
――今後の課題としては、どのようなことがありますか。
森さん「2019年5月に日本で発足した『30% Club Japan』活動に賛同し、日比野会長と中田社長がメンバーとして参画しています。この活動では、メンバー企業が取締役会における女性比率を2030年までに30%以上にしていくことを目標として掲げ、日本企業の持続的成長を促進するために役員に占める女性の割合を向上させることを目指しています。弊社の場合、取締役会における女性比率は現時点で23.1%となっていますので、まずは30%にすることを目指しています。そして、当社グループとしては、金融界をけん引するような女性リーダーの輩出に向けて、今後も採用から育成、登用という取り組みを積極的に行うことで良い流れを生み出していきたいですね」
(聞き手:戸川明美)
プロフィール
森 千春(もり・ちはる)
大和証券株式会社 人事部人事課兼ワーク・ライフ・バランス推進室 次長
2007年大学卒業後に総合職として大和証券入社。東京、神戸など計3か店でリテール営業に従事。2020年10月から現職となり、人事業務のほか、女性活躍支援やワーク・ライフ・バランス促進の取り組みなどを担当する。