会社がベビーシッター代を補助
――働く女性をサポートするための制度には、どのようなものありますか。
森さん「女性がさまざまなライフイベントを経ても仕事を継続できること、そしてキャリアアップできることのふたつを両輪としてさまざまな施策を行っています。
たとえば、『育児をしながら働き続けてキャリアアップを図りたい』という人には、会社が契約するベビーシッターサービスを特別料金で利用できる制度があります。一般的にはベビーシッターサービスは入会金や利用料などでかなり高額になりますが、それらを補助することでベビーシッターを利用しやすくしています。また、育児休職から復帰する際に、社員のかわりに保育園の空き状況などを確認する『保活サポートデスク』もありますね。以前から、保育園や幼稚園の費用補助はしてきましたが、昨年度からは学童の費用のサポートも始めました。ベビーシッターサービスなどは、社内の『ワーク・ライフ・バランス委員会』で議論されて創られた制度です」
――ワーク・ライフ・バランス委員会とはどのような組織なのでしょうか。
森さん「日比野(隆司)会長と中田(誠司)社長が共同委員長となって年4回開かれている社内委員会です。現場社員の声やアンケートの結果などをもとに、働き方などの課題を議論し対応策を考えています。委員会に参加するアドバイザーは内容ごとに毎回変わります。社内トップが共同委員長として参画しているので、方向性が決まると実施に至るまでが速いのが特徴ですね。この委員会から、男性の育児参画妊婦エスコート休暇の導入などさまざまな制度が実現しました」
――大和証券の女性活躍推進の現状はいかがでしょうか。
森さん「今年度末までに掲げている数値目標としては、女性管理職比率を2005年度比で5倍強となる15%以上にする、新卒採用における女性採用比率を安定的に50%にする、研修受講者に占める女性比率を50%にする、年休取得率を70%以上にする、男性の育児休職の比率を100%にすることの5つがあります。
まだ今年度(2020年度)が終わっていないので、あくまでも今の段階ですが、この5つの指標すべてで目標に近い数字となっています。
現在の女性管理職比率は15.9%ですが、女性社員が入社後に会社で同じようにスキルアップしていけるよう、男女共通の研修に関しては男女半々の受講比率を目指しています。とはいえ、女性特有のライフイベントもありますので、将来の管理職候補となる若手女性を対象とした研修や管理職に登用された後の女性向けの研修も実施してきました。女性が経験しやすい悩みや障壁はありますので、こうした研修は今後も継続していきたいと思います」