女性活躍推進に早くから取り組み、2014年の経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」受賞をはじめ、まず多くの取り組みが評価されている損害保険ジャパン。女性社員向けの研修制度の充実、ワークライフバランスにおいても定評がある。
その取り組みを、人事部ダイバーシティ推進グループ ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)チームリーダーの吉池玲子さんに、実際に両立支援制度を利用しながら管理職としてダイバーシティ推進グループ課長も務めた、業務品質・コンプライアンス部コンプライアンス室特命部長の藤中麻里子さんに体験談を聞いた。
第三段階で生産性向上狙い、テレワークを開始
――女性活躍の推進に2003年から着手されていますが、現在に至るまで、どのように進めてきたのでしょうか。
吉池玲子さん「推進への取り組みは4つのステップに分かれます。最初は2003年、女性活躍推進専門部署の設置です。女性がいきいきと働き続けられる会社として、働く環境を整備するための制度や仕組みをつくりました。主に出産、育児、介護などと、仕事の両立を支援する制度の充実を図りました。たとえば、産前産後休暇ですと法廷基準は産前が6週のところを8週に延長しています。2004年から実施している『育児短時間勤務制度』は、子どもが小学校3年生の学年末まで時間を短縮して勤務ができます。2019年度は1446人の利用があり、多くの社員がこの制度を活用して『ワーク』と『ライフ』の両立を図り、全国で活躍しています。育休者が復職する時の不安を取り除くサポートをする『育休者フォーラム』も開催しています。このフォーラムは上司と本人が一緒に参加し、本人は今後のキャリアを考え、上司はスムーズな復職をサポートするものです。本人だけでなく、上司にもアプローチすることが職場の風土改革につながっていると思います。
働きがいに着目した施策を始めたのが第二段階です。2010年にコース別人事を廃止し、処遇や役職を一本化することで男女ともに活躍できるフィールドを整えました。この頃、女性専用に層別のキャリア段階に応じた知識、スキル、意識マインド変革のプログラムを開始しました。
第三段階では、2015年から男女問わず『時間あたりの生産性』を高め、それぞれの持つ能力を最大限に発揮できるよう『働き方改革』を進めています。テレワークやシフト勤務が始まり、このころからの取り組みがベースとなり、コロナ禍で時間と場所にとらわれない働き方が加速していると感じています」
――テレワークは2015年から、始められていたのですね。
吉池さん「そうですね。一方で2018年度からは、キャリア支援策の一つとして、活躍する多様な社員を紹介する短時間動画『ロールモデルチャンネル』を社内イントラネットに展開しています。「周りにロールモデルがいない」という声が聞かれたため、さまざまなバックグランドをもつ女性管理職を紹介し、自身が共感するパーツを参考にし、自分だけの「パーツモデル」をイメージしてもらうようにしています。女性だけでなく、LGBTの当事者、障がいのある方、人材育成を頑張っている方など、多様な社員の動画も紹介しています。
第四段階はニューノーマルへの対応として『働き方、仕事のやり方改革』をキーワードに、時間と場所に捉われず、自ら考え行動する働き方へチャレンジしています。今年度、『損保ジャパン大学』を設立。D&I学部の中に、参加者をリーダー層に限定したダイバーシティマネジメントを学ぶゼミを開設しました。組織づくりの要となるリーダー層にD&Iをより深く理解してもらい、所属部署を超えて広くD&Iを推進する伝道師的存在になってもらいたいと考えています。また、『SOMPO LIVE』という全国から200人~300人がオンラインで参加できる講義やセミナーも開始しました。役員に直接質問ができる対話形式のLIVEも開催するなど、D&Iの意義や理解浸透に向けたさまざまな情報を発信しています」