「コミュニティ」を超えて連携する
―― 女性活躍やダイバーシティー&インクルージョンを推進していくにあたって、今後の取り組みを教えてください。
杉田さん「女性やマイノリティーが平等に活躍するためには、周りの人たちの理解やサポートの促進が必要だと思います。たとえば子どもがいる女性社員に対して、上司や同僚が『子どもがいるから、この仕事を任せないでおこう』と勝手に判断してしまうような、『アンコンシャス・バイアス』が起きることがあります。決めつけや思い込みをもたずに、まずは話し合いをしてどんなサポートが必要か理解することが大切です。そのためにも、管理者向けの研修などに力を入れていきたいですね。
あとは、『枠を超えること』がカギになると思っています。社内には、ママやパパ、障がい者、技術者、営業など、さまざまなコミュニティがあって活動していますが、コミュニティを越えて連携していくことが、新たな突破口につながります。たとえば、介護と仕事の両立は、女性だけではなく男性も、職種によらず関わる問題ですよね。男女、技術者、営業職、障がい者などさまざまな立場の人が一緒になって考えていくような 『ヨコ』のつながりを生かすことが、新たなイノベーションにつながる可能性を秘めていて、IBMならではの解決策が生まれると思っています。
じつは米国IBMのダイバーシティー&インクルージョン推進は100年以上にもわたって行われてきました。公民権運動が本格化する前から、黒人や女性の雇用を始めていますし、今から約80年前に初の女性副社長も誕生しています。こうした企業文化もあって、日本IBMも風通しが良い会社だと自負していますが、社会の変化とともに人々のニーズも変わっていくでしょう。これからも社員の声に耳を傾けながら、働きやすい環境づくりを進めていきたいと思っています」
(聞き手:戸川明美)
プロフィール
杉田 緑(すぎた・みどり)
日本IBM ダイバーシティー&インクルージョン 担当パートナー
大学卒業後、日本IBMにITスペシャリストとして入社。ソフトウェアシステム構築のプロジェクトマネジメント、サービス提案などを経験。その後、デンマーク留学を経て2014年にMBA取得後、人事部門へ。新卒採用やマネージャー向け施策の企画に携わる。20年10月から現職。