お手本は「デンマーク」 決めつけや思い込みをもたずにまず話し合う! 日本IBM 杉田緑さんに聞く

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女性管理職の育成を応援して「背中を押す」施策

   ―― 女性活躍の推進について、具体的にはどのような関連施策がありますか。

   杉田さん「具体的には、エグゼクティブと1対1でペアを組み、エグゼクティブがオーナーシップをもって、その社員に向き合ってもらう『スポンサーシップ』や、一緒に実際のミーティングの場に参加するといった『擬似体験』といった、さまざまな取り組みを行ってきました。結果的に、この1年のプログラムを終えた半年後には、参加者54人中の約半数が部下をもつ管理職に着任しました。当初はプログラム終了から1年後に半数の管理職登用を想定していたのですが、実際にはより早くそれ以上の効果が現れて、うれしい発見でしたね。『管理職になりたくない』割合も40%から10%に低下し、当事者だけでなく、同僚や若手の女性社員にも良い影響になっていることがわかりました。こうした地道な取り組みは、これからも続けていきたいと思います」


「現場の声を大切にしている」と話す杉田さん

   ―― 社内保育園の設置や、教育休暇や介護休暇など、働きやすさを支えるさまざまな福利厚生制度があると聞いています。そういった制度を作る際の受け皿には、どのようなものがありますか。

   杉田さん「私たちは、現場の声というものを大切にしています。弊社には約20年前からJWC(Japan Women's Council)という委員会があり、課題をもつ社員自らが提言することができます。2011年の社内保育園の設置は、JWCから生まれ、最近では2019年に社内学童プログラムも実施されました。このプログラムは、夏休み中の2週間、子どもたちを預かり、IBMのテクノロジーに触れさせるなど、さまざまなプログラムを組んでいます。とても好評でしたが、今年(2020年)は新型コロナの影響で集まることができませんでした。代わりに、リモートで働く両親が少しでも仕事に集中できるように、オンラインで未就学児のダンスや読み聞かせなどのプログラムを行っています」

水野 矩美加(みずの・くみか)
水野 矩美加(みずの・くみか)
アパレル、コンサルタント会社を経てキャリアデザインをはじめとする人材教育に携わる。多くの研修を行う中で働き方、外見演出、話し方などの自己表現方法がコミュニケーションに与える影響に関心を持ち探求。2017年から、ライター活動もスタート。個人のキャリア、女性活躍、ダイバーシティに関わる内容をテーマに扱っている。
戸川 明美(とがわ・あけみ)
戸川 明美(とがわ・あけみ)
10数年の金融機関OLの経験を経て、2015年からフリーライター、翻訳業をスタート。企業への取材&ライティングを多く行う中で、女性活躍やダイバーシティの推進、働き方の取り組みに興味をもつ。
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