「周りは動いているのに、まだまだ自分は動き出せない......」
「あの人はどんどん進んでいくのに、自分は取り残されているような気持ちになる......」
「みんなはできているのに、自分はできていない......」
人が活動できる範囲に差がある今、つい人と比べて自分は...... と焦ったり落ち込んだりすることってありますよね。頭では仕方がないとわかっているけれど、なんだかモヤモヤした気分が晴れないこともあるようです。
そして、それは今だけのことではなく、仕事をする中だけでもなく、生きていくうえでよくあることです。
まずは「気づくこと」が比較から抜け出す第一歩
昇進、収入、パートナーや子どもの有無、住居、はたまた「楽しそう」にしているか......など、SNSを開いてはつい他人と比べて自分はダメなんじゃないかなと思ったり。
その思いがもっと頑張ろう! とやる気につながり、前向きな原動力になればよいのですが、反対にそれがストレスになって自分の行動を止めてしまったり、自分自身が本来望んでいない誤った方向に走ってしまったりすることが多くあります。
人との比較は、心を弱らせる要因のひとつです。そんな時、私たちはどうすればよいのでしょうか?
心を強くしなやかに整えていくための初めの一歩は、どんなときもまず「気づく」ということです。
スポーツアスリートもビジネスアスリートも、メンタルが強いと言われる人は自分自身を知り尽くしています。
今の自分がどんな状態か、どうしてその状態になっているのか、ということに気づくことができれば、どうすれば対処できるのかということがわかるのです。
ですから、まず自分が人と比較していることに気づくことが先決です。
とはいっても、それが簡単にできれば苦労はしません。
多くの方は、これまで比較や評価をされながら成長してきました。無意識のうちに誰かと比べて自分を評価することが刷り込まれているので、意識しないと気づけないものです。
まずは、ふだんから自分が今どんな状態なのか、どんな気分なのか、何を考えているのかに注目してみましょう。
何を考えているかに気づく
日々を過ごしていると、うれしいな、楽しいな、つらいな、悲しいな、さみしいな、焦るな、などのいろいろな気持ちになることがあるでしょう。
それと同時に、どんな出来事から何を考えてそんな気持ちになっているのかに注目してみましょう。
焦りや不安などのネガティブなことだけでなく、うれしい、気持ちいい、などのポジティブな気持ちにも目を向けていくと、自分の思考のクセに気づきやすいですよ。
たとえば、テストで80点をとった時。
・Aさんより良い点数だったから安心した
・自分の目標としていた点数よりいい点数だったからうれしい
・Bさんより悪い点数だったから悲しい
・自分の予想していた点数より低かったから悔しい
など、ひとつの出来事からポジティブな感情やネガティブな感情が生まれます。そんな時に、なぜその感情になったのかを考えると、自分がどんな思考を持っているのか見つけることができます。
また、ふだんから優越感を抱きやすい人は、劣等感も抱きやすいといわれています。
人と比較して自分が良い・悪いというように判断するクセがついているのですね。
もちろん、それらが悪いというわけではありませんが、状況によってはそれが自分を苦しめてしまうこともあるので、まず自分にはそういった思考のクセがあることを知っておくことが大切です。
気づいたら、やめる。その繰り返しで「心の筋肉」はつく
さて、人と比較してモヤモヤしたり焦ったりして、自分にとってマイナスな状態にいることに気付いた時。
どうすればそれらをやめることができるのでしょうか?
それは、考えるのをやめることです。とても単純で簡単ではありますが、最も効果があるのがこの方法です。
比較していることに気付いて、やめる。そして、本来の自分がやるべき作業に取り組む。
何か他のことに没頭する。まったく関係のないことをする。
ついまた比較していることに気付いたら、やめる。
その繰り返しこそが、心のトレーニングです。腹筋や背筋などの筋力トレーニングと同様、一度行えばすぐに筋肉がつくのかというとそうではありません。地道な日々の積み重ねが、自分に自信をつけて心をしなやかに強くしていく大切な作業です。
人との比較をやめるのに非常に効果的な方法が、比較対象を少なくすることです。SNSを見るのを制限して、入ってくる情報を少なくします。SNSの閲覧をやめると、幸福度が上がるという研究結果はさまざまありますが、実際に筆者もSNSアプリをスマホから削除して、閲覧回数を減らしたところ、日々の充実度が非常に上がったことを実感しています。
お仕事などで使用される方は難しいかもしれませんが、できる方は是非一度試してみてくださいね。
自分本来の人生を歩んでいる時が、一番心が強くしなやかでいられますよ。(くぼた茜)