日本は借金まみれ! 膨らむ財政出動にもう「増税」しかない?(鷲尾香一)

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   財務省は2020年7月3日、2019年度の決算概要(見込み)を発表。大幅な税収減となることが明らかになった。

   新型コロナウイルス対策のため、2020年度予算では2度の補正予算を編成し、大幅な財政赤字となっており、いずれは増税を行わざるを得ない状況だ。

  • 日本は「国債」という借金まみれ
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昨秋の消費増税前の見込みから、すでに7000億円も下振れ

   財務省によると、2019年度の決算は一般会計決算税収が58兆4000億円となった。2018年度の一般会計決算税収は60兆4000億円だったことから、1兆9000億円減少した。当初の予算時点では62兆5000億円、2019年の補正時点では60兆2000億円を見込んでいたが、米中貿易摩擦の影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停止などが影響した。

   税収の項目別では、所得税が19兆2000億円(2018年度は19兆9000億円)、法人税が10兆8000億円(同12兆3000億円)、消費税が18兆4000億円(同17兆7000億円)だった。

   消費税収の増加は、2019年10月に消費税率を8%から10%へ引き上げたことによるが、消費税率引き上げ前の見込みからは約7000億円下振れている。これは、新型コロナウイルスの影響による。

   問題は2020年度だ。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府が緊急事態宣言を発出して休業要請や外出自粛要請を行ったことで、4~6月は経済活動が停止した。この影響は所得税、法人税、消費税を大きく下押しすることになる。

   加えて、新型コロナウイルス対策として納税を最大1年間猶予する措置を打ち出したことで、この納税猶予措置分の税収減も影響することになる。

   一方で2020年度の一般会計は当初予算の102兆7000億円に加え、新型コロナウイルス対策のために25兆7000億円と31兆9000億円の2回の補正予算を組んでおり、予算合計は160兆3000億円に拡大している。

国の歳出額の半分超が「国債」という借金で賄われている

   このうち新規国債の発行が財源となっているのは、当初予算で32兆6000億円、2回の補正予算で57兆6000億円にのぼり、新規国債発行額の合計は90兆2000億円と巨額だ。

   さらに問題なのは、巨額の特例国債(赤字国債)発行だ。当初予算での新規国債発行額31兆6000億円のうち、赤字国債は25兆4000億円、2回の補正予算では46兆円を赤字国債の発行に頼っており、赤字国債の総額は71.4兆円にのぼる。

   公債依存度(一般会計歳出額のうち、国債発行が財源となっている割合)は、当初予算時には31.7%(うち赤字国債の割合は24.7%)だったが、2回の補正予算まで含めると56.3%(同44.5%)に跳ね上がる。

   つまり、国の歳出額の半分以上が国債という借金によって賄われることになる。

   公債依存度はリーマンショック後の2009年度でも51.5%、東日本大震災復興の2012年は48.9%だった点を考慮すれば、異常な高さと言わざるを得ない。

   2020年度の当初予算での一般会計決算税収は63兆5000億円に過ぎない。内訳は所得税が19兆5000億円(2019年度は19兆2000億円)、法人税が12兆1000億円(同10兆8000億円)、消費税が21兆7000億円(同18兆4000億円)を見込んでいる。いずれも、2019年度を上回る。

   だが、これもまた新型コロナウイルスの影響で所得税、法人税、消費税は大きく下押しされる可能性が高い。そのうえ2回の補正予算を含め71兆4000億円もの赤字国債が発行される。

   新型コロナウイルスの影響で減少する税収。急増する赤字国債という構図を見れば、2020年度が大幅な財政赤字に陥ることは火を見るよりも明らかだ。

   政府は2025年度の国・地方基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を財政再建計画の目標として掲げている。しかし、どう考えてもその目標の達成は無理だろう。それ以上に、コロナ禍が落ち着けば、財政再建のために大幅増税を行わざるを得なくなるはずだ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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