「あなた自身がクレーマーにならない」ためにできるコト

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ある飲食店の女主人の告白

   いい大人がなにをしているのだろうか? 夫や子どもに、こんな姿を見られたら......。しかし、さらに問題を複雑にしているのは、クレーマーの「負の連鎖」がはじまっていることである。ある飲食店の女主人は、こう告白した。

「昔と比べ嫌な客が増えた。どんなに不快な思いをしても、お金のためだと割り切って笑顔で接している。しかし、自分が客の立場になると、従業員の接客態度からコールセンターのオペレーターの口の利き方まで、腹が立つ。ほんの些細なことにも声を荒げたり、ムキになってつっかかったりしている。自分でもイチャモンだとわかっていても、黙っていられない」

   もはや日本はクレーマー列島、モンスター大国。いったい、どこで歯車が狂ったのだろうか?

   たとえば、教師にくってかかるモンスターペアレント。学校で子供が理不尽ないじめやえこひいきに合わないようにリスクヘッジする保護者。しかし、学校で理不尽な扱いを受けることがなくなったとしても、大人になれば厳しい競争社会が待っている。実社会に出たとき、そのギャップの大きさに押しつぶされ、簡単にキレたり、クレーマーになったりしないか心配である。事実、こうした心のアンバランスは、理想と現実のギャップによるところが大きい。

   口幅ったいようだが、私たちの中にもモンスターが棲みついているのではないだろうか?

   何かのきっかけで「どうしてくれるんだ!」「どう責任をとってくれるんだ!」「誠意を見せろ!」などと、凄みをきかせて、自分の要求を通そうとする。

   こうした社会だからこそ、日々、自分の内面をしっかりみつめ、心をコントロールしなければならないのだと思う。最大のクレーマー対策は、自分自身がクレーマーにならないことなのかもしれない。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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