マック異物混入騒動と悪質クレーマーのはざま 「得体の知れない不気味さ」を見抜く

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「現代社会の闇」

   このようにして、自らの体験により、焦らず相手の悪質・反社会性を見極めながら段階を踏んで乗り越える解決方法を身につけてきたのである。

   まず自らの足元を固めた上で焦らなければ、あげ足を取られることがない。相手の外面ではなく本質を見極め、柔軟に対応できるから、理不尽な要求に心が折れることなく、「無理矢理(槍)」な攻撃を交わし乗り越えることができるようになった。

   現在も格差社会や世の中の歪みを反映して、「理不尽なクレーマー」は増加の一途をたどっている。少し見方を換えれば、事件として表に出てこない悪質クレーマーや、真面目な人がいつ何時モンスターに変身しかねないという現実が、体感治安を悪化させている。

   ほんの些細なことや勘違いで、すぐにヤクザのような言葉づかいで怒鳴りあげるのは、まさに瞬間湯沸かし器である。事実、堅実な生活をしているはずの公務員が地元スーパーではクレームの常習者であったり、まじめな会社員や家庭の主婦が常識外れな要求を突きつけたりしてくることは珍しくない。

   スピード社会の中でストレスを抱えながら、いっぱいいっぱいの状態で生活している人にとって、些細な理由によってキレて殺人事件が起こるように、何気ない一言や初期対応のミスなどのきっかけで消費者がクレーマーに豹変することがある。クレーマーも「得体の知れない不気味さ」という点では、よくわからない動機で凶行に及ぶ犯罪と共通した「現代社会の闇」と言える。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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