相手の無理矢理(槍)の矛先をかわすのが一番
D言葉をS言葉に言い換える――。たったこれだけのことで、トラブルを爆発寸前で食い止めることができる。
たとえば、気分屋の上司がストレスのはけ口をあなたに向けてきたら、どうすればいいだろうか?
「あぁ、ダメダメ。そんなレポートでは役に立たない。いつまで経っても、キミは半人前だな」
部下のあら探しを「指導」と勘違いしている上司。そんな上司の器量はよくわかっているつもりでも、あまりに理不尽な言い方をされると、思わず言い返したくなる。
「ご指示どおりにまとめたつもりなのですが......」
「なに? これで上出来だと思っているのか?」
「いえ、そういうわけではありませんが、昨日は時系列でコンパクトに整理するようにご指示をいただいたので、そのような体裁にいたしました」
「そんなことを言ったか? これまでの経緯と時間の経過がはっきりわかれば、それでいいんだよ」
「ですから、時系列でコンパクトに整理したんですよ」
「なんだ、その言い方は! 俺に説教する気か?」
これでは、まるで子どもの喧嘩だ。ムカつく上司ではあっても、ここでムキになる必要はない。「ですから......」は、こう言い換えてみてはどうだろうか?
「承知しました。時間の経過がはっきりわかるように、どのような形でまとめればいいでしょうか?」
もしくは、
「失礼しました。もう一度具体的なアドバイスを頂けば助かります」
モンスター相手に、土俵に上がって相撲をとってもメリットはない。あくまでも、相手の無理矢理(無理槍)の矛先をかわすのが一番であり、モンスターをさばくための賢い生き方である。(援川聡)