「D言葉」をやめ「S言葉」に、でうまくいく 即効トラブル解決法

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   暮れもあわただしくなってくると、運転マナーに関する喧嘩や傷害事件の増加とともに、タクシー車内のトラブルに関する報道も目立つようになる。乗務員が客に暴力を振るわれたり、詐欺や強盗の被害に遭ったりしている。

   こうした事件がクローズアップされるようになってから、タクシー会社では車載カメラ積極的を積極的に導入している。その記録映像によって、乗務員と客のやりとりが克明に再現されるようになった。私も、依頼を受けて映像を見ながらトラブルの原因を探ったり、その防止策について助言したりしている。

「だから」「だって」「でも」・・・

D言葉とS言葉とは
D言葉とS言葉とは

   ある車載カメラの映像には、こんなトラブル現場の生々しい光景が映し出されていた。

   時刻は深夜1時過ぎ。客は40代ぐらいの男性で、かなり酒に酔っている。一方、乗務員は実直そうな60代の男性だ。

客「次の交差点を右」
乗務員「ハィ......」
客「返事が聞こえない」
乗務員「はい」
客「ちゃんと聞いているのか!」
乗務員「だから、『はい』って言ってるじゃないですか」
客「なんだ、その態度は! 客をなんだと思ってるんだ」

   客は後部座席から身を乗り出し、いまにも乗務員に殴りかからんばかりである。

   このケースでは、一般常識からいって乗務員に非はないように思える。客が酔いにまかせて、言いがかりをつけているだけだ。

   しかしここで、乗務員が客に常識を求めてもしかたがない。トラブルになれば様々なリスクが生じる。トラブルの火種をしっかりと初期消火して、酔った(困った)客を目的地まで送り届け料金を頂いてこそプロのタクシードライバーと言える。

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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