「正論」モンスターが「社会福祉」を襲う

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隠された「動機や目的」

   そもそも、「正論モンスター」の常軌を逸した行動の裏には、さまざまな動機や目的が隠されている。

   これまでも触れてきたが、団塊世代に多いのが、寂しさを埋め合わせるように「説教魔」になるパターンだ。彼らは、モンスターの名にふさわしく傍若無人な振る舞いをするが、その心の奥底には強烈な思い入れのあることが多い。

   モンスターペアレントは、我が子に対する強烈な愛着があり、それがいびつな形で噴き出している。

「クラスの集合写真では、うちの子を真ん中にしてほしい」
「学校は勉強をするところ。うちの子だけには放課後に掃除をさせないで!」

   また、モンスターペイシェント(患者)には、自分や家族の健康・生命への渇望があり、それが満たされないと怒りを爆発させる。

   こんなケースがある。ある病院で、深夜に子どもを抱いた母親が飛び込んできた。その表情は青ざめている。当直にあたっていた脳外科医に母親は突っかかる。

「どうして小児科の先生がいないの! あなた脳外科? それでわかるの? すぐに小児科の先生を呼んできて!」

   子どもは鼻水をたらしてはいるが、体温は37度程度でとくに心配するような所見はない。しかし、母親の興奮は収まらない。

「うちの子になにかあったらどうするの! 訴えますよ!」

   こうした光景は、どこの病院でも見かけられる。

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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