進む「モンスターのボーダレス化」 どんどん低くなる「ブチ切れ沸点」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

店舗スタッフの「話し方」にクレーム

   また、あるブティックには「鼻にかかった話し方をされ、バカにされたようで気分が悪い」と、女性スタッフの接客態度を責め立てる常連客がいた。

   彼女の話し方は個性であり、とりたてて非難されるべきことではないが、この客は執拗に抗議の電話をかけてくるため、しかたなく客の自宅まで行って、お詫びしなければならなかった。

   東日本大震災での原発事故以後、「被ばく」に対する不安が多くのクレームを生んでいる。そのなかに、こんなケースがあった。

「ペットフードの原料が、放射性物質に汚染されていないかどうか、とても心配だ。詳細な分析データを送ってほしい」

   ペットも家族の一員ではあるだろうが、実態把握は容易ではなく、一企業に詳しい情報を個別に求めるのは酷な話である。

   中国産の食品問題がクローズアップされると、安全性に不安を持つ消費者からは、こんなクレームが食品メーカーに届いている。

「ポテトチップスを買って食べたが、いつもと違う味がした。包装の裏面表示を見たら、中国産の原料を使っている。国産品と思って購入したのに、裏切られた思いだ」

   このメーカーでは従来、中国産のジャガイモを使っている。調理法も変わっていないという。どうやら、「味の変化」は、ワイドショーをみて不安になった消費者の体調(不安な心理状態)が原因のようだった。

   人それぞれ感性は異なるが、あまりにこだわりが強いと、行政機関といえども対応のしようがないだろう。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
姉妹サイト