「団塊世代」に増えるモンスター 引退後「相手にされない」寂しさが暴発

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まるで「水戸黄門の世直し」気取り

   私がクレーム対応の指導をするなかで感じるのは、団塊世代のモンスターが増えていることである。現役時代は仕事人間で、リタイアしたいまも、激しい競争社会で身につけた交渉力を武器に相手を論破しようとするが、そのバイタリティとは裏腹に鬱屈(うっくつ)した感情を抱え込んでいる人が少なくない。

   年末の繁忙期、顧問先のスーパーでは、店先であれこれクレームをつけ、長時間にわたって持論を展開する男性の対応に追われていた。

「こんなところに商品を積んでおいてはいけないな。危険じゃないか。ほかに倉庫を確保すべきだね」
「そろそろ品揃えのリニューアルが必要じゃないか。テナントも選考したほうがいい」

   まるで「水戸黄門の世直し」気取りである。言っていることは間違いではないが、その多くは理想論に過ぎない。一方、店側としては煩わしく思いながらも、顧客満足の精神から、むげにはできない。

   この男性は「困ったお客様」の典型だが、彼の心も寂しさでいっぱいだ。自分の存在価値を他人に認めてほしいが、ちっとも認めてもらえない。家人に愚痴を聞いてもらいたくても、忙しい現役世代からは敬遠される。その満たされない思いの代償をスーパーの従業員に求めているのである。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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