「見た目は普通」の理不尽な人 「おとなしそうな主婦」が豹変する時

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一般市民の「ホワイトモンスター」

   あなたの身近にいるモンスターを思い浮べてほしい。たぶん、平凡なサラリーマンだったり、おとなしそうな主婦だったり、年金で暮らす老人だったりするのではないだろうか? 私は、彼らを「ホワイトモンスター」と呼んでいる。

   じつは、詐欺まがいの手口で金銭をかすめとる悪質クレーマーでさえ、その多くは一般市民である。かつては、暴力団をはじめとする反社会的勢力が後ろで糸を引くケースが大半だったが、暴力団対策法が施行されてからは、めっきり影が薄くなった。

   もちろん、所属団体を(属性)を隠した暴力団関係者や、表向き足を洗った裏稼業の連中もいるが、彼らも一般市民を装って忍び寄ってくる。

   いま、理不尽な人に振り回されたり、押しつぶされたりしないようにするには、以前にも増して注意が必要だ。なぜなら、外見からは見分けがつかないばかりか、もともとは善良な市民だった人までが、不安や不満を暴発させてモンスター化しているからだ。

   長引く不況に加えて、東日本大震災や原発事故の影響もある。「見える恐怖」ではなく、「見えない不安」が日本全土を覆っているのである。こうした漠然とした不安感が、さまざまなトラブルの誘因の一つであることは否定できないだろう。

   しかも、ホワイトモンスターの多くは、過剰な被害者意識をもち、自分が常識はずれなモンスターであることすらわかっていない。

   さらに厄介なのは、警察は「民事不介入」の立場で、「クロ」と断定できない事案には手が出せないことである。企業に押しかけるクレーマーについては、暴力団対策法によって取り締まることができるようになったが、ご近所トラブルや職場でのパワハラなどは、事実上、野放しの状態である。私たちは、こうした現実を踏まえて自己防衛するほかない。

   そこで、次回からは、さまざまなタイプのモンスターについて、その驚くべき「生態」を明らかにしたい。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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