「現場で役立つ」クレーム対応策 このガイドラインが威力を発揮する

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「誠意」とはお金ではありません

『クレーム対応のガイドライン』


I 基本方針:安易に金銭で解決しない。「誠意」とはお金ではありません。


II 行動指針 ≪クレーム対応の流れ≫

   1:スピーディな対応 → 誠心誠意お詫びの姿勢
   2:確実な実態把握 → 上手に聞き、見極め判断材料を収集
   3:悪質なものは組織(チームワーク)で解決 → 有機的な連携[警察相談・弁護士との協議を有効活用し組織連動]


III 対応要領

1:現場の初期対応で勝負は決まる

   ≪まず親切丁寧にご不満を聞き、全力で取り組む姿勢が重要≫

   ○スピーディな対応で多くのクレームが現場(電話)で処理可能。

   [担当者のお詫びの気持ち、一所懸命さこそが顧客満足の鍵]

2:現場で判断できない場合

   ≪安易な回答は禁物≫

   ○言いがかり、あるいは責任の所在がはっきりせず、因果関係が明確でない。

   ○小さなミスなのに要求過大の場合、あえて現場判断しない。

   ……申し出内容・連絡先をしっかりと聞き、ギブアップトークなどを上手に使いながら、速やかに組織対応します。


3:典型的な特殊クレームの追及パターン

   ≪大声で迫り、即答を要求する場合は、悪質クレームの可能性大≫

   「どうしてくれる。誠意を見せろ」

   「マスコミ、インターネットで流す。消費者団体に言うぞ!」

   「今すぐ結論を出せ。責任者として回答(文書)を出せ」

   「精神的苦痛を受けて仕事が手に付かない。補償しろ! 迷惑料をよこせ」など

   ……さらに、追及する言葉の背後に[金銭や特別扱いの要求]が見て取れる場合は、悪質(特殊)クレームです。

   [こうしたケースはCS(顧客満足)からRM(リスクマネジメント)に対応方法をチェンジします]


4:特殊クレームへの応答

   ≪過剰反応せず複数で対応。冷静に録音・メモを取ること≫

   ○「こうしてお詫びしています。どのように対応すればよろしいのでしょうか?」

   ○「私の一存では答えられません。上司に報告して協議の上で回答しますので、お名前・ご連絡先を教えてください」

   ○「協議する時間が必要です。現時点では対応のしようがありません」

   ○「当社の責任が明確になり、因果関係がはっきりしたら、会社全体で誠意を持って対応します」

   などと、毅然と組織対応していきます。


5:組織(チームワーク)で解決

   ≪特殊クレーム・過大要求に単独判断は禁物!! 迅速に報告し、組織連動します≫

   ○現場を混乱させ、パニック状態を作るのがクレーマーの手口。スタッフが連携、冷静に勇気をもって粘り強く毅然と対応する。

   ○暴行や器物損壊が発生したら、即110番、警察に届ける。

   ○普段から役割分担を決め、訓練してこそ実行できる。


   以上のような点を踏まえ、解決を焦らず、組織全体が法律・社会通念の範囲内で判断すれば、大きな問題に発展することはありません。(援川聡)

援川 聡(えんかわ・さとる)
1956年生まれ。大阪府警OB。元刑事の経験を生かし、多くのトラブルや悪質クレームを解決してきたプロの「特命担当」。2002年、企業などのトラブル管理・解決を支援するエンゴシステムを設立、代表取締役に就任。著書に『理不尽な人に克つ方法』(小学館)、『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など多数。
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