「日本の常識」は海外で通じない 「当たり前」を説明する能力が必要だ

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「日本の常識を説明し共有する能力」が大事

   彼はまず、現地人マネージャーに対して、日本人であれば常識となっている「目標」を設定しました。「我が社のエスカレーターの競争力は、止まらないことにある」と説明し、スタッフに「自分が修理したエスカレーターが向こう3か月止まらないようにすること」を求めました。そして、定期検査を定期的に行うことを徹底しました。

   日本人社員にとって、この程度は当然のことであり、説明しなくても全ての社員に伝わっています。しかし、だからこそ現地で起こっている問題の原因を発見することができなかった。本当の原因は現地人のサボタージュではなく、日本人が「自分たちの常識は海外でも当たり前である」と考えていたことだったわけです。

   逆に考えると、日本の当たり前品質を明文化し、海外のスタッフに実行させるだけで、現地では圧倒的なサービスレベルを達成でき、競合に対して優位に立つことができます。

   このように「日本の常識」を適用するだけで、海外では圧倒的になれる事例はたくさんあります。ただ、日本人にとっては当たり前のことであるために、問題が発見しにくかったり、外国人スタッフになぜそれが必要かを説明するのが難しかったりします。

   その困難を乗り越えることが、日本企業が現地で勝つためのひとつの方法です。海外で働く事を考えている人は、「常識」を改めて説明する練習を日常的にしておいた方がいいかもしれません。そのメソッドは、「常識」を知らない新入社員が入って来たときにも役に立つと思います。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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