「日本の常識」は海外で通じない 「当たり前」を説明する能力が必要だ

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   海外から東京に帰ってきて、いつも思うことがあります。それは「止まっているエスカレーターが少ないなあ」ということ。

   アジアでもヨーロッパでもアメリカでも、街中で停止中のエスカレーターに出くわすことは日常茶飯事。止まったエスカレーターを歩いて登るときの違和感を味わうたびに、「おっと、ここは海外か…」と思い出します。

海外では故障箇所しか直さないからすぐ止まる

JKT劇場があるジャカルタのfxモール。銀色のチューブは6階から降りる巨大な有料すべり台(エスカレーターではありません)
JKT劇場があるジャカルタのfxモール。銀色のチューブは6階から降りる巨大な有料すべり台(エスカレーターではありません)

   あるメーカーの方から、日本のエスカレーターの故障率が非常に低いと聞いたことがあります。理由は単純で「定期検査を真面目にやっているから」。検査スタッフが真面目に調査して「故障する前に修理しているから」ということでした。

   彼がとあるアジアの海外法人の状況を調査したとき、定期検査が「定期的に」行われていないことに驚いたそうです。設備の管理台帳がいい加減で、検査のスケジュールもきちんと組まれていない。そして設備業者も顧客も、それを全く問題視していないことでした。

   修理の現場に同行したところ、現地人スタッフは止まっているエスカレーターの壊れている箇所を見つけると、そこの部品だけを交換し修理終了にしてしまったそうです。

   エスカレーターの部品は回っているので、1カ所が摩耗していたら他の部分も摩耗している確率が高い(だから定期検査が必要なのですが…)。それなのに、スタッフには「動くようにしろ」という指示しか与えられてないので、動き出したらさっさと帰ってしまう。だからまた、すぐに止まってしまうのです。

   この一連の流れを聞いて「だから外国人は」とか「日本人でないと」と言うことは簡単です。しかし、そんな文句を言ったところで、エスカレーターはすぐに止まってしまいます。大切なことは「どうすれば止まらないようにするか」。さて、彼はそれからどうしたのか。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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