頻繁におこる偏頭痛は「心の問題」なのかもしれない

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   新しい1年が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか。新年も健康でご活躍されますようお祈り申し上げます。幸せで充実した毎日には、健康が欠かせません。「心身相関」という言葉もあるように、心と身体はつながっています。身体の不調を早めに察知して、ストレスケアにつなげることが重要です。

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ストレスが原因の腰痛も

市販薬を飲んでいるだけではいけない
市販薬を飲んでいるだけではいけない

   身体の不調には、心との関係性の強いものがあります。ストレスを受けたために、肩こりや胃痛、便秘などに悩まされている人もいるでしょう。

   よくある「過敏性腸症候群」「胃潰瘍」「狭心症」だけでなく、「月経不順」「高血圧」「気管支喘息」「不整脈」「緊張性頭痛」などの疾患も、「心身症」とみなされています。心身症は、心の問題の関与が大きい身体疾患を総称しています。

   原因は持続的な緊張やストレスと考えられていますが、身体面での検査で異常を認めることも多いため、身体面の治療が優先され、心のケアが見逃されることも少なくありません。

   しかし、発症や増悪に心の状況が影響しているおそれもありますから、心の問題は侮れません。

   身近な症状では、頭痛や腹痛、そして腰痛すらも心の問題が原因になっているかもしれません。自律神経の乱れが血流を悪くし、筋肉を硬直させて腰痛を引き起こすのです。

   症状が出るたびに対症療法でやりすごしている人は、ぜひいちど、ご自身のストレス要素やライフスタイルを振り返ってみることをお勧めします。

   私が出会った、ある人の例を紹介しましょう。「偏頭痛持ち」を自称するAさんは長年にわたり、月にいちどは酷い頭痛に悩まされていました。

鎮痛剤だけでは治らない頭痛もある

   頭痛の症状が出る度に、Aさんは職場の机に忍ばせた市販の鎮痛剤を飲み、痛みを抑えていました。しかし根本的な改善はなされず、むしろ痛みは慢性化するばかりです。

   そこで、健康診断のときに思い切って医師に相談したところ、PC作業から来ると思われる肩こりなどの身体症状のひどさを指摘され、忙しさによるストレスや不眠が症状をひどくしているのではないかと診断されました。

   そして医師からは、「心身の緊張をほぐす薬」を処方され、しばらく服用を勧められました。

   Aさん自身も忙しさに流されず、医師の助言を受けて、お風呂にゆっくり入るようにしたり、寝る前にストレッチをしたり、休日にはマッサージに通ったりと、日常生活の改善を試みました。

   すると、頭痛の頻度や強さが徐々に緩和してきました。いまでは服薬をやめることができて、充実した日常生活を送っています。

   頭痛があるのとないのとでは、日常生活の充実度が大きく変わります。自分自身の心身のマネジメントを上手に行い、仕事にプライベートに充実した毎日をおくっていただきたいものです。


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今回の筆者:林 美貴子(はやし・みきこ) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。保健師、看護師。知的労働者のメンタルヘルスや健康管理・健康支援を研究テーマとして医学博士を取得。健康保険組合や外資系企業の人事・健康管理部門を歴任し、実経験を踏まえた視点で研究・調査を行う。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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