“自由な女のワンテーマ・マガジン”を掲げる女性月刊誌「FRaU(フラウ)」(講談社)が、2010年11月号で「気持ちよく、働く!」という特集を組んでいる。女優・菅野美穂さんへのインタビューなどを掲載しているが、興味を引くのは働く女性たちを対象にしたアンケートの内容だ。
半数以上が「尊敬できる上司いる」
アンケート記事のタイトルは、「フラウたちのお仕事リアル白書」。20~30代の働く女性を中心とした341人に、働く意味や勤務の実態、職場環境と転職、結婚・出産と仕事の関係などについて尋ねている。
記事によると、「尊敬できる上司はいますか?」という問いには、54.5%が「いる」と回答。
上司に言われて嬉しかった言葉としては、「大活躍したね」(27歳・金融)、「仕事がキレイ」(42歳・その他)など、仕事ぶりをほめる言葉が挙がっている。
また、仕事の能力に対する信頼感を示す言葉も並ぶ。
「さすが!任せる!」(39歳・メーカー)
「君ならできると思っていた」(36歳・観光)
「信じてるよ。やりたいようにやって、報告だけしてくれればいいから」(35歳・メーカー)
中には、「私からあなたに教えることは何もない」(30歳・IT関連)、「下の子はみんな、あなたのようになりたいと思ってるみたいだよ」(36歳・IT関連)と、手放しで絶賛するようなホメ言葉もある。
しかし、「君が休暇を取ると困るな」(45歳・建設)まで行ってしまうと、「もしかすると、この人たちは悪い上司に乗せられて、うまく使われているだけなのではないか」という疑いの気持ちも起こってくる。
「あなたは子どもを産んだ後も仕事を続けるべきだ」と言われて喜ぶメーカー勤務の44歳女性もいるが、もう少し若いうちにいちど職場から解放してあげてもよかったのでは、と思ってしまうのは余計なお世話だろうか。
というのも、働く女性たちには、仕事と「結婚」「出産」との間で挟み撃ちになって悩む人が少なくないように見えるからだ。
「出産後の復帰の道筋」探るうち40代に
独身の回答者(61.8%)の8割以上は「いつか結婚したい」、結婚したい年齢は62.4%が20代、30代と答えている。しかし現実は厳しく、「仕事が理由で、結婚や出産を先延ばしにしている」と悩みを抱える人も。40代の女性たちは、
「キャリアを捨てたくなかったから」(42歳・公務員)
「出産後の復帰の道筋をつけてからと考えるから」(41歳・マスコミ)
と、先延ばしに至った理由を打ち明ける。
結婚や出産に関して、女性は男性に比べて年齢による制約が多い。しかし、仕事人間の男性上司に重宝されて必死に着いていくうちに、気づいたら30代を過ぎていた――。そんな人もいるのではないか。
男性社会の中でバリバリ働いていると、年齢の感覚が薄れてしまうのかもしれない。一方、下の世代であるアラサー女性たちからは、結婚や出産をしていない理由について、
「仕事の予定が先に先に決まっていく職種だから」(27歳・その他)
「疲れきって何もしたくない。自分から出会いを求めるのは億劫」(30歳・介護福祉)
といったコメントが。働き盛りの中で、仕事に追われたまま時機を逸してしまうことへの焦りの様子もうかがえる。
これまで日本の企業社会は、女性特有の問題を無視し使い捨てのようにしてきた感がある。労働人口の減少が予想される中で、女性が働きやすく、結婚や出産といった私生活と両立できる環境を整備することは重要な課題となるだろう。